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日本から見た歴史≠日本史:日本人のための歴史学 [歴史]


日本人のための歴史学―こうして世界史は創られた! (WAC BUNKO 63)

日本人のための歴史学―こうして世界史は創られた! (WAC BUNKO 63)

  • 作者: 岡田 英弘
  • 出版社/メーカー: ワック
  • 発売日: 2007/05
  • メディア: 単行本


日本から見た歴史について記述した本。といっても、「日本史」の本ではないところが特徴である。
学校教育で日本史、世界史の区別を何の不思議思わなかった人には一見の価値がある。
【目次】
はじめに 考古学は歴史ではない
第1章 偶然の積み重ねが歴史をつくる
第2章 大モンゴル帝国から世界史は始まる
第3章 この「厄介な国」中国の過去と現在
第4章 「日中友好」は災禍の歴史だ
第5章 「アジアは一つ」という嘘
結びに代えて 歴史認識を混乱させる三本立ての歴史文化

この本を読んで一番面白い箇所は、歴史の区分についての話。
日本の歴史は西洋からの受け売りで「西洋史」が誕生し、同一の考え方を元に「日本史」を作った。そしてその間を埋めるために「東洋史(中国史)」が出来て今の体系に至る。
しかし、筆者は日本人としての歴史に必要なのは日本とのかかわりであり、歴史を日本史、西洋史で区別することなく、日本とのかかわりを中心に語れば十分であると主張する。
このことが書いている「はじめに」でいきなり目から鱗が落ちた。

本書の内容は各章別にある程度独立しており、筆者の過去の文章の再構成である。そのため、少々古い部分がある。(少々というよりも文化大革命当時の記述があるので「かなり」古い部分がある)
本書の多くはモンゴル・中国を中心に記述されており、その両国を中心に動いたユーラシア東部の歴史について面白い記述が多々見られる。

最後に筆者は日本と中国のかかわりについて記述している。
その内容は中国に幻想を持ちすぎず、深入りしないのが肝要という主張。
確かに、主張には納得させられるものがあるのだが、中国は分裂に向かい21世紀は中国の世紀というのは大間違いと主張しているのが気にかかる。
先のことはわからないが、現時点では21世紀は中国の世紀に見える。
中国分裂を主張する人は多く、将来は的中するかもしれないが、現時点ではその主張があるだけでやや胡散臭く見える部分があることは否めない。

それでも、筆者の歴史についての記述は深いものがあり、日本を愛していることも伝わってくるため、日本から見た歴史という観点で「世界史」でも「日本史」でもない「歴史」を見ているのは有益だし、きっと面白さを感じ取ってもらえるものだと思う。

☆☆☆(☆三つ)
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