物語の奥に引きずりこまれる感覚:アラビアの夜の種族 [小説]
「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」で絶賛されていた本書。
http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2008/03/post_d754.html
大げさだろうと思っていたけど、全然そんなことはありませんでした。
この本を読んでまず驚いたのは本の中の世界に引き込む力の強さ。
読書好きの方なら時間を忘れて読みふける小説に心当たりはあるだろうが、本書はまさしくそういった類の本である。
現に、私も日ごろは休日は余り本を読む時間がないのだが、この本に限っては続きが気になる余り家事をおろそかにして読みふけってしまった。
妻には迷惑をかけてしまったが、それだけの面白さのある本である。
舞台設定は1700年代後半のエジプト。しかし、本書で語られる多くはエジプトの物語ではなく、エジプト人を通じて語られる物語である。本書を読めば、現実を軽く超越した、物語の圧倒的な力を味わうことが出来る。
ミステリではないのだが、余り多くを語ると本書の面白さをそいでしまうため、多くは語らない。
外国を舞台にした小説が苦手とか、分厚い本は受け付けない等の人生の楽しみを半減させる類の好き嫌いが無い人には絶対にオススメできる小説である。
タイプは若干異なるが、物語の壮大さ、クライマックスの衝撃から言うと「蒼穹の昴」が匹敵するのだろうと思われる。
元は現地に伝わったお話らしいが、これほどまでにうまく日本語化・再構築してくれたものだと、筆者には感謝せずには居られない。
☆☆☆☆★(☆四つ半)
ストーリーの壮大さ、クライマックスの衝撃からこの本が思い浮かびました。
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