脇役のほうが大活躍：邪魅の雫

邪魅の雫 (講談社ノベルス)

• 作者: 京極 夏彦
• 出版社/メーカー: 講談社
• 発売日: 2006/09/27
• メディア: 新書

Q.なぜ、エントリの投稿間隔が開いてしまったのでしょう？
A.レンガ本を読んでいたからです。

その分厚さでも有名な京極夏彦の京極堂シリーズ。
今回も、読みごたえばっちりで、内容も本シリーズにふさわしく非常に充実している。

本書は、大磯・平塚を中心にした連続殺人事件の謎にいつものメンバーが迫るというもの。
タイトルに出てくる妖怪は邪魅という非常にマイナーな妖怪だが、舞台の背景には非常に有名な歴史的事実・事件が使われており、読んでいて「こう来るか」との思いを常に持ち続けることが出来る。
結構先が読める部分も多いのですが。

また、このエントリのタイトルにも書いたように、本書はシリーズの脇役の出番が多い。
京極堂、榎木津と言った主役級は最後にちょっと出てくるだけであり、関口を別にすると探偵見習い益田・警官青木の出番が多く、いつものシリーズ物とは目先の変わった感じを受ける。
ちなみに、私が好きなカストリ雑誌記者鳥口は今回出てこない。ちょっと残念。

本シリーズの愛読者なら、間違いなくオススメできる。

余談になるが、「不思議なことはない」と言う京極堂に代表されるように、本シリーズは森博詞のミステリと相通ずるものがあると思っている。登場人物は文系の異能者京極堂と理系の異能者犀川助教授で正反対に見えるが、物の見方から謎を解くという手法自体は近いものがあると思う。

☆☆☆☆★（☆四つ半）




他のブログの反応はこちら等。
読了に時間がかかったと言う反応が思いのほか多い（笑）
評判自体は悪くないほうが多数派ですが、他のシリーズと若干違う感じもあるので、そこに言及しているブログもありました。
http://donasippo.blog110.fc2.com/blog-entry-50.html
http://uzumaki.blog.so-net.ne.jp/2008-03-30
http://sugar123.blog50.fc2.com/blog-entry-220.html

タグ：ミステリ 京極夏彦 ☆☆☆☆★