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公的年金+自分年金=豊かな老後?:大人の投資入門―真剣に将来を考える人だけに教える「自力年金運用法」 [投資・マネー]


大人の投資入門―真剣に将来を考える人だけに教える「自力年金運用法」

大人の投資入門―真剣に将来を考える人だけに教える「自力年金運用法」

  • 作者: 北村 慶
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2008/01/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント―ノーベル賞学者とスイス人富豪に学ぶ智恵」に続く筆者の資産運用本。
公的年金をベースに物事を考えていることが、本書の一番の特徴である。


【目次】
第1章 あなたは年金をいくらもらえるのか?
第2章 あなたの年金はこうやって運用されている
第3章 世界の年金基金の最先端運用法はこれだ!
第4章 “私的年金ファンド”を作ろう!
第5章 こうやって運用すれば年金不安も怖くない
第6章 明るい未来のために


本書は、資産運用の良書の多くがそうであるように、パッシブ運用&ドルコスト平均法による資産運用によって、老後に必要な資産を構築することを説く。
この点だけを見ると、余り特徴がないように見えるが、本書の最大の特徴は、公的年金をベースにそれにプラスする形で資産運用を薦めている点にある。

日本の公的年金の6割強は日本債券で運用されており、それだと債券に偏りすぎていて保守的に過ぎるので、日本株式と海外株式のクラスで積み立てを行い、理想のポートフォリオを構築することを薦める内容になっているのだ。
これ自体は間違っていないし、私の今の知識では、サラリーマンが十分な資産を作る最も正解に近い方法であると思う。

ただ、年金制度に不満を持つ私としては、本書の内容で納得できないことがある。
本書でも触れられているように、今の年金制度は世代間扶養方式であり、今年私が払った年金は、今年年金を受給する親の世代が受け取る年金の原資にされる。
つまり、今の年金運用は将来受け取る年金とは何の関係も無いため、今の年金運用を補う形で資産運用を考えることは論理的に破綻している。

全ての年金が確定拠出型になっているならともかく、現状を見ると、私が支払った年金は私じゃない誰かが受け取り、いまだ生まれていないような将来の日本人が支払う年金を私が受給するというのが今の年金制度なのだ。
このねずみ講的な制度は根本的に問題があり、既に破綻しているが、強欲で無知な団塊世代が生きているうちは是正されないだろう。
団塊世代が死に絶え、バブル世代が80前後になる頃には是正されるのだろうが、その頃には私もおそらく現役ではいられない。そのような欠陥年金制度をあたかも自分が運用しているように考え、それに私的な運用を加えてトータルな資産運用を考えることを説く本書は、最後に書かれる結果自体は正しいが、論理構成には大きな誤りがあると言える。

内容がまともであり、役に立つものだけに、この論理構成は残念だ。

☆☆☆(☆三つ)





他のブログの反応はこちら等。
この本で示される投資法を否定しているエントリは少ない。これは私も同じで、この本の通り投資すると、大損することは無く資産を構築できると思う。
ただ、いくつかのエントリが触れているように、この本で語られるロジックは結構穴だらけで突っ込みどころも多い。
マネー本というジャンルにおいて、本書のように過程を間違えていて答えがあっている本の評価は難しい。科学系の本なら確実にダメといえるのだが、マネー本なら結果オーライも許されそうだし、個人的には評価に悩む本です。
http://koutou-yumin.seesaa.net/article/104842200.html
http://blopuu.blog43.fc2.com/blog-entry-75.html
http://jibunisan.exblog.jp/9167753/
http://www.stylishidea.com/archives/1071
http://ikadoku.blog76.fc2.com/blog-entry-190.html
http://shinkansen-19641001.cocolog-nifty.com/kodama/2008/01/post_4080.html
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コメント 4

ikadoku

「過程を間違えていて答えがあっている本」とは、言いえて妙ですね。

確かに、結果を出してこそのマネー本では、
本書に示される結論が比較的正しいだけに、
評価は難しいところです。

by ikadoku (2008-08-27 11:06) 

book-sk

>ikadokuさん
コメントありがとうございます。
本書の論理はいろいろ突っ込みどころが多すぎですよね。
結論は悪くないだけに、おそらく結論ありきでそこにいたる過程において目立とうとして自爆したのだと想定されます。
普通に書いたら目立たないのは分かりますが、だったらもうちょっとまともなロジックで書いてほしいと思いました。
マネー本だから罪は少ないと思いますが。
by book-sk (2008-08-27 22:34) 

g-san1101

TBありがとうございます。
>今の年金運用を補う形で資産運用を考えることは論理的に破綻している。
この部分についてはその通りとは思いますが、生活資金としてのみ考えた場合、私にはわかりやすかったです。
資産運用をしないといけないと考えるきっかけになっただけ読んでよかったと思っています。
by g-san1101 (2008-08-28 00:05) 

book-sk

>g-san1101さん
コメントありがとうございます。
分かりやすく、資産運用をしないといけないと考えさせられるいい内容だっただけにちょっと残念だなというのが私の感想です。
筆者は、他の著書や経歴からして、一般投資家向けの正しい資産運用は十分に分かっていて、変な業者に魂を売っていない良心的な人だとは思うのですが、奇をてらおうとして自爆したのが真相だと思います。

結論はすばらしいというところには異論ありません。
by book-sk (2008-08-29 00:01) 

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