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キャラクターは健在だが、内容は……:ナイチンゲールの沈黙 [小説]


ナイチンゲールの沈黙(上) [宝島社文庫] (宝島社文庫 C か 1-3 「このミス」大賞シリーズ)

ナイチンゲールの沈黙(上) [宝島社文庫] (宝島社文庫 C か 1-3 「このミス」大賞シリーズ)

  • 作者: 海堂尊
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2008/09/03
  • メディア: 文庫



ナイチンゲールの沈黙(下) [宝島社文庫] (宝島社文庫 C か 1-4 「このミス」大賞シリーズ)

ナイチンゲールの沈黙(下) [宝島社文庫] (宝島社文庫 C か 1-4 「このミス」大賞シリーズ)

  • 作者: 海堂尊
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2008/09/03
  • メディア: 文庫



前作「チーム・バチスタの栄光」のエントリはこちら
http://book-sk.blog.so-net.ne.jp/2008-03-08

近年におけるミステリの傑作、「チーム・バチスタの栄光」でデビューした筆者の続編。
チーム・バチスタの栄光」の主要登場人物はそのままに、新たに魅力あふれるキャラクターがたくさん登場している。

本書のストーリーは、小児科に入院する男児の、ろくでなしの親が殺される事件に対して、前作同様の東城大学医学部付属病院+αの面々が事件解決に挑む。
前作で登場した、愚痴外来の田口と厚労省技官の白鳥以外にも、キャラが立っていて個性的なキャラクターが新たに登場している。小児科看護師長の猫田、白鳥の同期で警視正の加納、歌のうまい看護師の小夜、肝硬変で入院してきた「白銀の迦陵頻伽」の異名をとる冴子、眼の癌で入院している小児科患者の瑞人。
これらの一人でも主役を張れそうな面々が持ち味を味わって暴れまくる。
キャラクターの魅力自体は前作同様どころかパワーアップしていると言ってもいい。

ただし、ストーリー自体は前作より劣ると思われた。
ネタバレになるので、あまり詳しくは書かないが、本書の肝になる設定が微妙なものである上に、トリック自体もいまいち冴えがない。
動機もはっきりしないし、犯人の行動も説得力に欠ける様に感じられた。

前作との比較で書くと、
前作が医療ドラマとして、病院の問題点を含めた設定全てがおもしろかったと思えた人は、本書では若干の物足りなさを感じるだろう。
逆に、前作のキャラクターはおもしろいと思ったが、舞台設定が若干難しいとか煩わしいと思えた人には、本書の方がスカっと楽しめるだけに向いている。

よりライトノベルに近い、キャラクターの魅力を前面に押し出した小説だと言える。

映画化されて、書籍とは違った単純にキャラクターを楽しもうとする層の読者が取り込めそうなときに、本書を文庫化するのは商業的にはおそらく大正解で、そういう面はすごく目鼻が聞いていると思う。

☆☆☆★(☆三つ半)

他のBlogの反応はこちら等
(ポジティブな評価のエントリ)
http://hotatto.blog27.fc2.com/blog-entry-674.html
http://bar07.blog.so-net.ne.jp/2008-10-02-5
http://yukkie9811028.blog47.fc2.com/blog-entry-98.html
http://d.hatena.ne.jp/takaochan/20080928/1222533227
http://blog.goo.ne.jp/sig_s/e/afb72ab70222356828416180b579b796
(ニュートラルな評価のエントリ)
http://blog.livedoor.jp/masahino123/archives/65157378.html
(ネガティブな評価のエントリ)
http://fruitpunch0731.blog116.fc2.com/blog-entry-640.html
http://d.hatena.ne.jp/doublecrown/20080926/1222438163#tb
http://blog.goo.ne.jp/3788616/e/a6977457f37b586ac953f2d62ccc5cd2

私と同じく、若干ネガティブな評価をしている人たちは、前作と比べて劣るという評価が多い。私も、本書が第1作だったらどうだったかと思うと、きっと中の上ぐらいの評価はしていたのだろうとも思う。
ただし、前作以上とか、前作と比べてもすばらしいと評価している人も多いので、その辺は好みによるところも多いのだろう。







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