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誘拐ミステリの良作:大博打 [小説]


大博打 (新潮文庫)

大博打 (新潮文庫)

  • 作者: 黒川 博行
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1998/03
  • メディア: 文庫


黒川博行のミステリ。誘拐事件、チケットサービス業者の内側、各種船舶の描写など、マニアックなジャンルを詳細に調べて記述しており、誘拐をテーマにしたミステリの良作に仕上がっている。

本書のネタバレにならない程度のあらすじは、大手チケットサービスの会長が老人ホームから誘拐される。犯人はチケットサービスの社長に金塊2トンを要求する。非常に重たい金塊をどのように奪取するのか、また、犯人はなぜターゲットを定めたのかというところが本書のミステリとしての見所である。

本書は、黒川博行らしく、大阪弁のテンポがいい会話で構成されており、どんどんどんどんと読み進めることができる。そして、もう一つの特徴である死人が出ないミステリは本書でも健在であり、大人の誘拐という非常に被害者が殺されやすいテーマを扱っているにもかかわらず、無理のない形で死人のでない結末を描いている。
筆者には死人を描かないことにポリシーがあるのかも知れないが、そうした制約を受けてきっちりおもしろい小説を描くのは筆者の腕前のなせる技だ。

はっきり言って、空前絶後の傑作というわけではない。しかし、黒川博行ファンはもちろん、ミステリ好き、大阪弁で生き生きと描かれる登場人物に魅力を感じる人などには自信を持っておすすめできる良作である。

誘拐をテーマにしたミステリとしてはグリコ・森永事件をテーマにした高村薫「レディ・ジョーカー」や、貫井徳郎の症候群三部作の一つ「誘拐症候群」が存在するが、どれとも違う独特の味を本書は醸し出している。

☆☆☆★(☆三つ半)

他のBlogの反応はこちら等。
(ポジティブな評価のエントリ)
http://blog.goo.ne.jp/fwgl2635/e/b2f23b153d3539452b45b8349eb94a1f
http://ameblo.jp/baabamama/entry-10025308533.html
http://chojubai.blog.so-net.ne.jp/2007-02-12
http://blogs.dion.ne.jp/zzz/archives/878253.html
http://crutonpapa.at.webry.info/200604/article_23.html
http://blogs.yahoo.co.jp/maru9316/27205935.html
(ニュートラルな評価のエントリ)
http://blog.livedoor.jp/yocching/archives/50633365.html

やはり、誘拐ものと言うことで、誘拐ものミステリについて言及しているエントリが多かったです。
大絶賛ではないけれど、エントリを書いた人の平均的な満足度は高そうです。







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