語るのではなく、かみしめる楽しみ:伊豆の踊子 [小説]
下にある、新表紙が有名になった本書。
私が読んだのは、新潮文庫版の上の方である。
本書で描かれているのは、昔の人が考える人生の形の一つなのであろう。
【目次】
伊豆の踊子
温泉宿
抒情歌
禽獣
個人的な好みは「温泉宿」。ただ、どの短編もさすがの力量で書かれており、そこにある人生を見ることができる。
本書は純文学に分類される作品なので、決してエンタテイメントとして人を楽しませることを狙った作品ではないが、下手なエンタテイメント作品よりも楽しめる。
「温泉宿」を例にとってみると、昔の売春宿に住む様々な女性を通じて、人の運命の限界と運命のはかなさを感じさせてくれることができる。それでいて人間の持つ強さも同時に描かれているので、ただ悲惨な運命を強調するだけではないのだ。
確かに、恵まれた人が上から目線で書いているように見える点もあるし、川端康成の文章と相まって非常に綺麗に描かれているものの、実態はそんなに綺麗じゃないよなと思うこともある。
それでも、後世でも評価されるだけあって、何かを感じ、それを語るのではなく、かみしめたくなる作品である。
☆☆☆☆(☆四つ)
他のBlogの反応はこちら等。
http://naginoha.seesaa.net/article/107847704.html
http://mylamp123.blog88.fc2.com/blog-entry-29.html
http://sin15.cocolog-nifty.com/blog/2008/08/post_7d17.html
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http://masamiki80.at.webry.info/200809/article_2.html
http://ameblo.jp/ogami-ittou/entry-10137728576.html
よしにつけ悪しきにつけ、過去の名作として書かれているエントリが多い。
やっぱり現代の小説家について書いたエントリとは、感覚の違うエントリが多いように見受けられます。
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