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自己責任が根付かない国 [opinion]

毎日新聞より
「市販薬:販売規制強化に波紋 ネット薬局、猛反発 チェーン店側は禁止訴え」
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081212ddm041040095000c.html
厚生労働省は、来年6月の改正薬事法施行に合わせ、インターネットによる一般用医薬品(市販薬)の販売規制を、同法の施行規則に盛り込むことを決めた。年明けに規則改正の省令を公布する。ネット業界や政府の規制改革会議は規制に強く反発していたが、かぜ薬や漢方薬などのネット販売は法令違反になる。
 改正薬事法は06年6月に成立。市販薬の扱いを半世紀ぶりに大幅に見直し、副作用の危険の順に1~3類に区分した。薬事法が対面販売による情報提供を原則にしていることなどから、同省は今年9月、ビタミン剤や一部の整腸剤など副作用の危険が低い3類以外はネット販売を認めない案を示した。
 同省案には、ネット業界やネットに出店している薬局、規制改革会議などが「消費者の利便性を奪う」と規制反対を表明。一方、日本薬剤師会や日本チェーンドラッグストア協会などは賛成し、薬害被害者や消費者団体は3類を含めて全面禁止を求めた。
 厚労省はこのほど、「ネット販売は対面販売と比較して、安全と安心を提供する面で問題がある」として、原案通りの規制が妥当と結論付けた。ただし安全確保の新たな提案があった場合は議論を検討するとしている。

記事はexciteニュースより引用


これだけ景気が悪くなって経済的に良い見通しが一つもない状況で、政府(厚生労働省)は一つの産業をつぶして、景気の足を引っ張ろうとしている。
この国はなんでこんなにもパターナリスティックな制約が好きなのだろうか??

厚生労働省が主張する本規制を行うことの根拠・メリットは以下のものらしい。
1.薬事法はそもそもネット販売を想定しておらず、従来から「合法」ではなかった。
2.ネットで販売された市販薬による薬害も発生している
3.ネット販売では対面販売と同等の安全性を確保するのは難しい。

これに対して、規制に反対する人たちの意見のうち主なものは以下。
一.従来から「違法」ではなかったのに、規制によってネットで市販薬を売っている業者の商売が難しくなる。
二.市販薬による薬害と、ネット販売は直接的に関係しない。
三.薬剤師のいる店での対面販売でも副作用・効能等の説明を受けることはほとんど無い。

このようにまとめると、厚生労働省の主張はあまり根拠のあるものだとは思えない。
法律解釈に関わる1.、一.の論点はもしかしたら厚生労働省の方が正しいのかもしれない。
しかし、2.については、ニュースにならないだけで有人店舗で販売された市販薬による薬害も発生しているだろうし、3.についても、三.の反論であるように、対面販売で副作用を説明されることはほとんど無いだろう。

薬の小売店等の利害関係者を除けば市販薬のネット販売規制に賛成する人はほとんどいないのが現状だろう。

そもそも、市販薬の説明書きを表示するなら店頭の箱に書いてある細かな表示を読ませるより、ネットで全文を表示してくれた方がよっぽど読みやすい。
しかも、有人店舗でショーウィンドウや奥の棚から取ってきて貰った商品の説明書きを読むことはできないが、ネットなら十分に説明書きを読むことができる。
私の感覚では、ネットの方が市販薬に関しては安全に販売する環境が整っているように思う。

そして、副作用を含めて表示された説明書きを読んで購入したなら有人店舗であれ、ネットであれ自己責任であるべきだ。
一時期労働問題において、奥谷禮子氏が労働政策審議会労働条件分科会で「過労死は自己責任」と主張して、その過度な規制緩和論が問題になったことがある。
しかし、個人的な感覚では、政府の会議でそうした規制緩和論がおおっぴらに語られることは稀だ。多くの政府会議、特にIT系の議題を扱うものについては規制強化を主張する人の方が目立つようだ。

もしかすると、役人は後で責任問題になるのが嫌だし、規制強化した方が仕事が増えて権限が拡大するから、そうした規制強化の委員を選んでいるのかもしれない。
しかし、私はこの国の人の多くが自己責任を嫌い、過度に政府に対して責任を押しつけているため、規制強化の方向に進んでいくのだと思う。

規制強化の方向に進んでいくと、日本経済の活力は失われていく一方だ。今回は市販薬のネット販売という市場がつぶされてしまったが、建築基準法の確認強化で建築不況を招き、グレーゾーン金利の禁止で闇金だけが儲かる構造を作ってしまうなど、役人の規制強化によって日本が経済大国でなくなっていく。

私を含めた国民は自己責任に目覚めて、意味不明な規制強化によって経済の活力が失われないようにしないと行けないのだが……。


「雑種路線で行こう」の楠さんもルールの必要は認めつつも、今回のような規制には反対されています。
ネット販売という業態を損なうことなく、規制を行うことは可能だと思うのだが、厚生労働省は何故かそういう方向に進もうとはしていない。
http://d.hatena.ne.jp/mkusunok/20081218







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