労組は世の中も見えてないし、交渉センスもない [opinion]
トヨタ労組など4000円賃上げ要求 経営側ベアゼロも辞さず
トヨタ自動車や日産自動車など自動車大手の労働組合が18日、賃上げなどを求める要求書を経営側に提出し、主要産業の労使交渉がスタートした。春闘のリード役であるトヨタ労組は昨年実績を上回る組合員1人あたり4000円の賃金改善(実質的なベースアップ)を要求。自動車総連傘下の他労組も軒並み同水準の要求となった。一方、経営側は「100年に1度」の不況の中で「ベアゼロもありうる」(大手幹部)と対決姿勢を強めており、かつてない熾烈な交渉となることは必至の情勢だ。
春闘2009のスタートを告げる記事。
これを見ただけで、労働組合のセンスと常識のなさが明らかになる。
官僚じゃないんだから、前例を踏襲するだけが芸じゃないはずなのに、今年も自動車から春闘をスタートさせている。さすがに会社で出世できなかった人の集まりだけあって、工夫がない。
春闘における労働組合側の交渉材料は、36協定を盾にした残業拒否とストライキ。
早い話が「仕事をやらないぞ」と言う脅しが経営側と戦うときの唯一の武器だ。
ところが、今の製造業は需要が減少しており、経営側は何とか生産を絞ろうと努力している。
大手鉄鋼メーカーが高炉を止めたり、自動車メーカーが休日を増やしたりしているニュースはちょっとでも世の中に興味がある人なら知ってるはずだ。
そんな状況で製造業に対してストライキを武器に交渉しても、是非ストライキをやってくださいと言われてしまうのがオチだ。ストライキの間は給与を払わずに生産をストップして在庫調整ができるのだから、経営側からすれば大歓迎だろう。
逆に、非製造業にはストライキが効果的な状況にある。
この不況においてはユーザーから日銭が入ってくるような商売は基本的に強いのだが、それ故に、日々の収入を止めるストライキは経営側にとって驚異なのだ。
こうした状況を考えると、公共交通・小売・通信あたりから春闘を始めて、「そういった(今まで低く見られがちな)業種でもベアを獲得できたのだから」という理由で大手製造業との交渉に入るのが正解にみえる。
少なくとも慣例だからと言う理由だけで、非常に苦しい製造業から始めるのは無策に過ぎる。
私が連合の委員長だったら、今期国内で最高の利益を出したNTTあたりからスタートするように調整して指令を出すのだが……。
そもそも春闘という形式が今の世の中にあっているとは思えないし、この経済状況でベアを要求するのも妥当とは思えないが、そういった根本的な問題解決はもはや労組に期待していない。
せめて、既存の枠組みの中で最善を尽くしてほしいのだが、経営センスはないし・世間の常識からもかけ離れている組合には過去の流れをたどることしかできないのだろう。
これではいくら蟹工船ブームがあっても、労働組合離れが進んでいくしかない。
春闘2009は、大手製造業にベアゼロ回答を食らった後に、非製造業では「トヨタですら昇給がないんだから」と言われて、結局組合側惨敗で終わるような気がしてならない。
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2009-02-18 23:22
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