SSブログ

これはひどい?:韓非子 [漢籍]


韓非子 (新書漢文大系)

韓非子 (新書漢文大系)

  • 作者: 竹内 照夫
  • 出版社/メーカー: 明治書院
  • 発売日: 2002/07
  • メディア: 新書



マキャベリと対比されることも多い古代中国の思想家韓非子。
本書は、後の目次を見てもらえればわかるが、全文ではなく抜粋。しかも読み下し文+現代語訳+解説というわかりやすい構成だ。
裏を返せば白文はないので、漢文に自信のある人にとっては物足りないのかもしれないが、白文で韓非子を読めるような人は少数派だろうから問題ないのだろう。

【目次】
主道第五
二柄第七
十過第十
孤憤第十一
説難第十二
和氏第十三
姦劫弑臣第十四
三守第十六
備内第十七
解老第二十〔ほか〕


私が韓非子を読んだときにまず思い出したのはジョン・C・ボーグルの「米国はどこで道を誤ったか―資本主義の魂を取り戻すための戦い」。これは、本当の会社の所有者である株主が全てを経営者に任せすぎたことによって、本来得られるはずの利益を経営者に盗まれていると言う主張をした本だ。

韓非子も「二柄編」で人を使うために必要なアメとムチを部下に渡してしまうと、君主の実権が失われてしまうことを実例を挙げてわかりやすく説いている。
現代の株式会社制度においても当てはまり、しかも、克服することが難しいような問題に対してもしっかり向き合っており、感心させられる。

現代においても、矛盾に満ちた大手マスコミ、株を守り続けて待ちぼうけ状態になっている政治家や高級官僚など韓非子の提言が当てはまる事例はいくらでも目にすることができる。
古代中国の書物では孫子を現代に生かそうとする人は多いが、韓非子の方が簡単に当てはまり、活用できるのではないだろうか。

例えば、「説難編」などは、逆鱗に触れることなく顧客のキーマンに自分の主張を受け入れて貰うやり方について述べており、コンサルタント・営業の仕事にそのまま転用できる内容だ。

このように、内容は現代でも色あせないものが多くあり、しかも素晴らしいのだが、韓非子は人間は利益で動くものだという経済学的なものの見方をしているので、非常に身も蓋もない書きっぷりになっている。
現代のBlog全盛の世の中で、韓非子が意見を書いていたら多数の賞賛を得るとともに、はてなブックマークで同じぐらいの「これはひどい」タグを貰ってしまっていただろう

王制の古代中国を生きた人の言葉が民主制になった現代でも十分に通用するのが不思議になるぐらいの一冊。人間のやることって、意外と進歩していないことがわかる。

☆☆☆☆(☆四つ)

参考:米国の有名ファンド創設者が韓非子と同じ内容の嘆きを書いた「米国はどこで道を誤ったか―資本主義の魂を取り戻すための戦い」のエントリはこちら
http://book-sk.blog.so-net.ne.jp/2008-11-17


他のBlogの反応はこちら等。今回は、同じ本に限っていません。
http://blog.livedoor.jp/yamato26840/archives/52262057.html
http://ueshin.blog60.fc2.com/blog-entry-823.html
http://sunnycanal.livedoor.biz/archives/51434212.html
http://blog.livedoor.jp/xisi2007/archives/657057.html
http://shinobida.ti-da.net/e2235920.html

自己啓発系、政治思想系、ビジネス系、教養といろいろな用途からのエントリが存在しました。
現代でも十分に通用する視点と、その幅広い応用性はさすがの一言です。






カスタム検索


タグ:☆☆☆☆
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。