待機児童を増やすもう一つの障害

Chikirinの日記「保育所が永久に足りないであろう理由」
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20090408

保育所が足りないのは、保育所ができたらできた分だけ希望者が増えることをわかっている厚労省と、女性の社会進出を否定的にとらえる頭の古い「保守」系政治家の世だとする意見。

毎回毎回Chikirinの日記は面白い。

本質はそうでも、待機児童を増やす原因はもう一つある。

待機児童を増やすもう一つの原因は「弱者の味方」を自称する左派系政治家だ。
たぶん、女性が党首であるはずの社民党なんかはその最たるものだろう。

保育所を増やさずに、待機児童を減らすのは簡単で、保育園の料金を一律で月5万円程度に設定すればいい。そうすれば一部地域を除いて、待機児童はほとんどいなくなるはず。

現在の制度がおかしいのは、所得税額がゼロの世帯は保育料もゼロになる（東京都練馬区の場合）。
税金で運営されている保育園を無料で利用して、基礎控除分ぐらい（子供の数にもよるけど、100万円以下レベル）しか稼がずに、所得税も払わない。
そんな人が、生活が苦しいという理由で優先的に保育園を利用して、年収で300万とか、400万とかちゃんと稼いで納税する能力のある人が保育園を利用できずに泣く泣く仕事から離れていく。
それって行政の無駄以外の何者でもない。

保育園の運営にいくらかかるかは知らないけど結構なお金がかかるのは明らかだ。だったら、納税もできない・将来のスキルアップにもつながらないような仕事にしか就けない人を働かせるために保育園を利用させるのはやめるべきだ。

そういった人を保育園から排除するのは簡単で、保育園の利用料を年収によって変えずに合理的な額に設定してしまえばいい――のだが、それができないのは「弱者の味方」を自称する政治家のせいだろう。
まともな所得も得られず、それが将来のスキルアップにもつながらないような人は保育園の利用を断念させた上で、生活保護なり何なりを受給する方が合理的なのだが。



ちなみに、ここから先は余談だけど、Chikirinさんは根がやさしい人なんだと思う。
今回のエントリもそうだし、以前の「格安生活圏」エントリ（http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20081121）もそうなんだけど、貧困にある人が「自分の力で」暮らしやすくするための方向に目が向いている。
さすが貧困に興味があると言うだけある。

私なんかは、非合理な保育園利用者は生活保護を与えてでも保育園から引き離すべきだと思うし、「格安生活圏」のエントリを見たときも、逆の考えでぴかぴかの町を創る代わりに世帯年収1,000万以下では暮らしにくい町（生活保護は水際で絶対阻止、税金高め、地価高め）を意図して創ったら繁盛するだろうなとか考えてしまう。
浮浪者もいないし、給食費の未納も存在しない、救急車をタクシー代わりに使う不届きものも存在しない町―たぶん東京の特別区だと、意図してそういったお金持ちのための町を創るのは可能だろう。私の発想はそういう方向に向きがちなのだが……

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コメント 2

こんにちは。興味深く拝見しました。おっしゃるとおり、ちきりんは根がやさしすぎて（？？）「納税もできない・将来のスキルアップにもつながらないような仕事にしか就けない人を働かせるために保育園を利用させるのはやめるべきだ」とはやっぱり思えないのです。異なる言葉でいえば、「社会に役立つ人だけが、社会には必要である」とは考えられない、です。あんまりいい人振るつもりもないのですが、強者だけの社会って画一的で不気味な気がして。
でも、意見は違いますがこちらのエントリは大変参考になりました。ブログの紹介もしていただいてありがとうございました。
今後ともChikirinの日記をよろしくお願いします！

by Chikirin (2009-04-10 02:38) 

>Chikirinさん
コメントありがとうございます。まさかコメントもらえるとは…ちょっと恥ずかしいです。

強者だけの社会は確かに味気ない気もします。
でも、私は「（安定した）仕事のない人は保育園に」「仕事のある人はやめて家庭に」という、今のやり方は確実にロスを生じていて、いろんな人が泣いているようにしか見えないのです……。

自分も貧困に落ちる危険は十分にあると思うので人ごとではないのですが、それ以上にロスの大きい行政にはがまんできないのが今の気持ちです。

もうちょっと整理してみたいですね。
これからもChikirinの日記は見続けます。たぶん。
by book-sk (2009-04-10 22:27)