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正しい年金改革論:だまされないための年金・医療・介護入門―社会保障改革の正しい見方・考え方 [社会]


だまされないための年金・医療・介護入門―社会保障改革の正しい見方・考え方

だまされないための年金・医療・介護入門―社会保障改革の正しい見方・考え方

  • 作者: 鈴木 亘
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2009/01
  • メディア: 単行本



現在行われている年金改革を語るキーワードは
●現在の高齢者への既得権保護・利益供与
●先送り主義
●情報操作
●本質的ではない論点へのすり替え
(本書145ページより引用)

このように、現在の年金についての問題点と、改革が迷走している現状を正確に把握・認識している。
本書を読めば、小手先の議論や感情論に惑わされることなく、社会保障の本質を掴むことが出来る。

【目次】
第1章 社会保障制度の「危機」はなぜ起きるのか
  簡単なたとえ話、実際の少子高齢化の状況 ほか
第2章 本当に重要なことを最小限にまとめた社会保障入門
  社会保障制度の存在理由、積立方式と賦課方式 ほか
第3章 年金改革の現状と論点
  年金財政の現状、厚生年金と共済年金の一元化とは何か ほか
第4章 医療保険・介護保険改革の現状と論点
  将来の医療保険料はどこまで上昇するのか、生活習慣病対策はどこまで効果が期待できるのか ほか
第5章 最初で最期の社会保障抜本改革
  ここまでのまとめ、積立方式への移行とその誤解 ほか


現在の年金危機が起こった原因は、社会保険庁の職員がいい加減な仕事しかしなかったからでもないし、年金未納者がたくさんいるからでもない。少子高齢化が進んで、賦課方式の社会保障が限界に来ているからなのだ。
年金について言えば、自分が納めたお金を自分ではなく現在の高齢者が使うようにする賦課方式へと舵を切り、さらに、社会保障を手厚くした田中角栄の時代に既に破綻を運命づけられていたのだ。
現在の年金危機はそのほころびが多くの人に見えるようになってきたに過ぎない。


それでは年金、健康保険、介護保険の社会保障をどのように立て直したらよいのだろうか?
実はこの問いに対する解も簡単で、まともな人なら答えは賦課方式から積み立て方式への移行しかないことはすぐにわかる
一つの世代がが積み立てたお金を運用して、同じ世代で使う。
これなら少子高齢化が進んでも社会保障はなんの影響も受けない。
今の日本が取り得る選択肢はこれしかないはずなのである。

ところが、厚生労働官僚や自称年金の専門家達(日経ビジネスオンラインのこの記事を書いた人など)は、わかっていて目くらましを使用としているのか、本当に馬鹿で理解できていないのか知らないが、一番本質的で唯一の解から目を背けている
結果、社会保障改革に残された貴重な時間と社会保障の積立金が浪費されてしまっているのだ。
こうした無能な専門家はまさしく万死に値する。

その点、本書が素晴らしいのは、どん詰まりの現状からでも、最大限の工夫をすることで最小限の負担で正しい道に戻るための手法を明確にしていることである。
政治的な反応にもある程度の配慮がされているので、本書に書かれたやり方で社会保障改革をすることは不可能ではないだろう。
社会保障行政にかかわる人が無私の立場で仕事をすることが前提だが、まだまだ最終バスは残っていることがわかる。

ミスター年金が厚生労働大臣になったが、彼の発言も実は本質的ではない論点へのすり替えを加速してしまっている。
マスコミや政治家に惑わされず、官僚にごまかされないで、問題点の正確な所在と、本当に必要な対策を知るためには日本国民は本書を是非読むべきである。

今後の政治情勢で、年金がもめる事態は必ず発生するだろう。 本書を読んで正しい知識を身につければ、そうしたときに無意味な混乱を眺めつつニヤニヤすることが出来る。

☆☆☆☆☆(☆五つ。満点!!)

他のBlogの反応はこちら等。
(ポジティブな評価のエントリ)
http://metameta.tea-nifty.com/blog/2009/08/post-e53e.html
http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/51482910.html
http://otsu.seesaa.net/article/121327299.html
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51173838.html
http://bbm.jugem.jp/?eid=370
(微妙な評価のエントリ)
http://dbdc.seesaa.net/article/115195395.html

社会保障の専門家サイドには受けが悪く、その他には非常に受けが良い。
それは社会保障への信頼が失われていることの象徴の一つなのだろう。





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