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まともなアイデアをまともに評価させる方法:アイデアのちから [自己啓発]


アイデアのちから

アイデアのちから

  • 作者: チップ・ハース
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2008/11/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



――素晴らしい企画が、そのまま高い評価を得ることはほとんど無い――
――これは、私が人材育成プラン作成の担当者に任命されたときの話である――

その職場に来てから、初めてメインの担当者に任命されて若かった私は張り切っていた。
幹部説明に向けて説得力のある資料を作ろうとして、22時前後までまで残って資料を作る日が続いた。
今までに実施されていた施策を調べ、
現状でどんな人材が足りないか調べ、
教育で得られる効果とコストを検討し、
どんな質問にも耐えられるように細部まできっちりに詰めた上でパワーポイント10枚ほどの資料を作成し、満足感を持って幹部説明に向かった。

ところが、結果は惨敗。
「何となくピンとこない……」
「レポートとしては悪くないんだけど……」
こんな反応を連発され、結局企画は延期。

自信があっただけに反動は大きく、当時の私は、「この資料で理解できない爺さんは頭が悪い!」と愚痴をこぼしてへこんでいた(お酒が飲める体質ならやけ酒していたと思う)。


ところが、当時の私には明らかに足りなかったものがあり、さらに、作り上げた資料は深刻な罠にはまり込んでいたのだ。
本書を読んだ今では、あのときの私の何が悪かったか、何が足りなかったのかがよくわかる。


上記で私が経験したように、内容的には問題ない、作り込まれた資料・企画を「何となく」却下された経験を持つ人は意外と多いのではないだろうか?
そんな人にこそ本書は読んでみてほしい。続きにも書いたように本書を読めば、理不尽に抵抗されることなく、自分のチカラを会社・取引先に役立てることの出来る方法が身につくはずだ。

【目次】
序章 アイデアのちから(WHAT STICKS?)
  ポップコーンの真実
  「記憶に焼きつく」とは?
  ハロウィーンを台なしに
  記憶に焼きつくアイデアの六原則
  原則1--単純明快である
  原則2--意外性がある
  原則3--具体的である
  原則4--信頼性がある
  原則5--感情に訴える
  原則6--物語性がある
第1章 単純明快である(SIMPLE)
  サウスウェスト航空の「核となる部分」の見きわめ方
  リードの埋没
  「三つ言うのは、何も言わないのに等しい」
  判断停止
  ■アイデア・クリニック
    注意:日光浴は危険
    人名、人名、とにかく人名
    核となる部分を伝える
    単純明快である=核となる部分+簡潔さ
    ハリウッド映画界におけるイメージ:明確なコンセプトの企画
    単純明快さの威力 ほか
第2章 意外性がある(UNEXPECTED)
  関心をつかむ
  誰も予想しない
  驚きの眉
  ノードストロームとタイヤチェーン
  ジャーナリズム基礎講座
  ■アイデア・クリニック
    米国の対外援助は多すぎる?
    土星の輪の謎
    好奇心の「隙間理論」ほか
  ■アイデア・クリニック
    資金調達に関する社内プレゼンテーション
    自信過剰に打ち勝つ
    隙間は知識から
    月面着陸とポケットサイズのラジオ
第三章 具体的である(CONCRETE)
  引き算の理解
  具体的であると覚えやすい
  記憶のマジックテープ理論
  茶色い目、青い目
  抽象性に陥るのはなぜか:設計図と機械
  具体的であることは協調を促す
  カプランと携帯型コンピュータ ほか
  ■アイデア・クリニック
    経口補水塩療法が子どもの命を救う!
    アイデアに具体性をもたせる
第四章 信頼性がある(CREDIBLE)
  信頼性を見出す
  パム・ラフィンは反権威者
  細部の威力
  陪審員とダース・ベイダーの歯ブラシ ほか
  ■アイデア・クリニック
    サメに対するヒステリックな恐怖
    食べられる布地
    肉はどこ?
    検証可能な信頼性 ほか
  ■アイデア・クリニック
    直感には間違いもある。なのに、誰もそれを信じようとしない
    新人研修
第5章 感情に訴える(EMOTIONAL)
  真実
  意味の拡張と関連づけの効果
  意味拡張との戦い:「スポーツマン精神」のケース
  テンペのケーブルテレビ
  イラクの食堂
  ポップコーンメーカーと政治学 ほか
  ■アイデア・クリニック
    代数の必要性とマズローのピラミッドの底辺部
    テキサスを怒らせるな
    ピアノ二重奏
第6章 物語性(STORIES)
  ゼロックス社員の職場の会話
  受け身ではない聴き手
  ■アイデア・クリニック
    問題のある学生への対応
    発見する技
    挑戦の筋書き
    世界銀行での物語 ほか
終章(WHAT STICS)
  記憶に焼きつく要素
  犯人は他にもいる ほか
アイデアを記憶に焼きつけるための手引き
解説 私も実践している優れたフレームワーク:勝間和代


本書は、アイデアを他人の頭に残りやすくするためのフレームワークを紹介している。
冒頭の例で出したように、内容的に問題が無くとも、印象に残らないアイデアというのは数多い。
そうした悔しい思いを味わうことなく済ますための、最良のツールが本書なのだ。

どんなに素晴らしいアイデアでも、他人の記憶に残らなければそのチカラを発揮できない。
逆に、本書のフレームワークを用いれば、取り立てて才能が無くとも、訓練次第で他人の記憶に残るアイデアを作ることは出来るし、最悪でも、アイデアの目利きになることは出来る。

ビジネスマンなら自分の企画を顧客・上司の頭に残せるし、教師なら重要なポイントを生徒の頭に残せるし、文筆業なら自分の著作を読者の記憶に焼き付けることが出来るのだ。
こう考えると、本書はあらゆる立場の人が読んでいて損のない一冊であるといえる。

本書で示されているフレームワークの概要は目次を読んでもらえればわかるが、
S:単純で
U:意外性があり
C:具体的で
C:信頼性のある
E:感情を揺さぶる
S:物語
を書くと言うものだ。SUCCESS(成功)の頭6文字を取っている。
本書では、これらの項目毎に、わかりやすく頭に残る説明が加えられているので、読んだ人は誰でも理解できるだろう。

私も本書のフレームワークを用いて、冒頭のつかみを書いてみた。
このBlogはビジネスではないので、30分程度しか使っていないが、ここまで読んでくれた人にとっては、それなりに興味をかき立てる出来だったのではないだろうか?
冒頭の駄文にちょっとでも興味を持った人なら、本書を読むべきだ。
私の子供だましの文章ではなく、ちゃんとした例文で、記憶に残るアイデアの作り方の神髄を学ぶことが出来る。

☆☆☆☆☆(☆五つ。満点!!!)

蛇足ながら、冒頭の文章の本書流採点
単純さ:○?→企画を理解されない理不尽さの解消に的を絞った
意外性:?→狙ったけど、文章が長くなってちょっとぼけたかも
具体的:○→このスペースで書ける内容にしてはそれなりと思ってるが……
信頼性:?→一応、細部の力を狙ったが、不足しているかも
感情:△→明らかに劣る企画が採用されたというフィクションを考えたのだが、信頼性の兼ね合いで事実ベースに。それでも自分の力を他人に役立てるという感情を狙った表現を文末に挿入。
物語性:○→ストーリー仕立てにはなっている。

他のBlogの反応はこちら
(ポジティブな評価のエントリ)
http://papativa.jp/archives/1940
http://d.hatena.ne.jp/output21/20091223/1261512839
http://yosshy217.blog20.fc2.com/blog-entry-124.html
http://www.web-smile.com/jissenkigyou/archives/001882.php
http://blog.nitty-gritty.org/archives/000849.html
http://turtle2005.blog.so-net.ne.jp/2009-02-15
読んだ人は、皆高評価。この出来なら当たり前である。
勝間和代氏が本書の解説を書いているが、いいものを見つけていっちょ噛みする能力はさすがだと思う……。










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