SSブログ

堕落する自由はどこまであるのか??:プレカリアートの憂鬱 [社会]


プレカリアートの憂鬱

プレカリアートの憂鬱

  • 作者: 雨宮 処凛
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/02/27
  • メディア: 単行本



・生活保護をもらっていて、毎日ビールを飲む人を許せるだろうか?
・生活保護者が子犬を飼うことを認められるだろうか?
・お客に頭を下げることをいやがって離職した人に雇用保険・生活保護を認めるべきだろうか?

本書はワーキングプアの事例がてんこ盛りだが、その多くにちょっと眉をひそめる事象が存在する。
筆者はそうした「ダメ」な人にも生きる権利をと主張する。
それを納得するか、許せないと思うかは人それぞれだろうが、非常に考えさせられるのは間違いない。


【目次】
第1章 プレカリアート、その日常
  障害者枠での就職は、ニートの希望となり得るか
  労働を拒否して立てこもるひきこもりは、何を希望に外に出るのか
  戦略的生活保護のススメ ほか
第2章 プレカリアートの反撃
  「難民」たちよ!一〇〇円でマクドナルドを占拠せよ!―三二歳不安定作家。希望は、革命戦争
  万国のフラレタリアよ団結せよ!!革命的非モテ同盟、参上!!
  「自由」と「生存」と「文化」、プレカリアートの果てしなく「豊か」な世界 ほか
第3章 希望のプレカリアート
  『遭難フリーター』俺は誰に負けた?俺は誰の奴隷だ?
  真夏の死の行進。彼は茨城・大洗から東京・飯田橋まで一〇日間かけて歩いた。生きるために
  まるでアメリカの映画から飛び出してきたようなB‐BOYの「一九歳・元ホームレス」。どこに行っても「特例」扱いだった彼
第4章 KYでも生きられる社会に―特別対談 森達也×雨宮処凛


2ちゃんねるなどでは、生活保護者の携帯電話料金が月2万円を超えている映像などを見て、そんな贅沢をさせるぐらいなら生活保護を取り上げろと騒ぐ人が多い。
私個人の感想としても、職場で居眠りするなど勝手に振る舞った上に、気にくわないという理由で職を転々とする人に生活保護を受給されるのは、納税者と言う立場から釈然としない。

逆に、筆者はどんなダメな人、どんなやる気のない人、どんな愚かな人にも国の責任でまっとうな生活を送らせろと主張している。
私の感覚と異なる点は大きいが、これは、立場・心情の違いだろう。
この点については読者一人一人が自分はどう思うか、考えるべきなのだろう。

ただ、現実は納税者も生活が苦しい人が多いので、自堕落な人に手厚い社会保障というのは受け入れられそうにない。この手の貧困本を読むとわかるのだが、日本の社会・制度・世間の心情は自己責任を支持しており、これ以上社会保障が手厚くなることは無いだろう。
そうした意味では、日本と米国は、個人に求められる方向性こそ協調と挑戦で異なるが、勤勉・努力を個人に求めることは非常に似ているように思われる。

学術的な意見はほとんど無いが、個々の事例はおもしろおかしく、それでいて良く書かれている。
自堕落が故に生活が苦しくなった人に対して、社会はどう向き合うべきかを考えさせられる一冊である。

☆☆☆★(☆三つ半)

他のBlogの反応はこちら
(筆者の論調に賛成するエントリ)
http://kurando.blog16.fc2.com/blog-entry-15.html
http://d.hatena.ne.jp/akamac/20090526/1243346359
http://f-mirai.at.webry.info/200904/article_29.html
http://blog.livedoor.jp/aslia/archives/51296584.html
(筆者の論調に反対するエントリ)
http://pumila.jugem.cc/?eid=1147
http://d.hatena.ne.jp/nekora/20100113/p1

筆者の意見に不賛同、不快を表明しているエントリも多く、自分だけではないんだとしみじみ。
良くも悪くも、ワーキングプア・プレカリアートの実体がよくわかる本です。






nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(1) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。