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着眼点は良いけど詰めが甘い:富裕層の財布―誰も知らないお金の使い方 [投資・マネー]


富裕層の財布―誰も知らないお金の使い方

富裕層の財布―誰も知らないお金の使い方

  • 作者: 三浦 展
  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 2007/07
  • メディア: 単行本



久々に大はずれ。
色々言いたいことはあるんだけど、筆者はデータから結論を読み取ることに向いていないと思う。

【目次】
第1章 富裕層の消費力
 やっぱり開業医。不動産、娯楽産業も多い
 三十代の富裕層は港区が好き
 「金融資産一億円以上」の人々の資産総額は二一三兆円 ほか
第2章 富裕層の分類学―富裕層を四つの視点から見る
 視点(1)真性富裕層―階層意識「上」の人々
 視点(2)団塊世代vs.新人類世代
 視点(3)ディンクス富裕層 ほか
第3章 富裕層攻略のためのマーケティングコンセプト  時間を省く
 富裕層向けポータルサイトが必要
 超ロングテール商品のための富裕層向けファイナンス ほか


本書は、富裕層向け雑誌「SEVEN HILLS」のアンケートで得られたデータを基に富裕層の実体を三浦展が語る構成になっている。ただ、データのN値が少ないのはともかく、傾向も何もなく思ったことを片っ端から言及して深い考察もないのはいただけない。
これではアンケートデータを生のまま載せた状態からの付加価値が何も存在しない。


筆者は少ないデータで書いた「下流社会 新たな階層集団の出現」が大当たりしたとき、データの少なさを指摘されたので、今回はデータを基に書こうと努力したのかもしれない。

ところが、筆者はデータから物事を読み取ることに悲しいぐらい向いていない。
直感と肌感覚で書いた「下流社会 新たな階層集団の出現」は分析としても良い線であり、世の中に受け入れられたのに比べて、本書は目の付け所は良いはずなのに何も響いてくるものがない。

本書で一番良かったのが、筆者の書いた部分ではなく、何人かの人へのインタビュー部分(明らかに富裕層とは言えない人が混ざっているところはご愛敬?)であることからも、本書の残念具合はよくわかると思う。

筆者は無理にデータ分析スタイルを取るのではなく、思い切った直感へと回帰して欲しい。
本書でも、データとは関係ない筆者の提言「新幹線はグリーン車をもっと差別化しろ」等は良い線行ってると思うんだけどなぁ。

☆★(☆一つ半)

他のBlogの反応はこちら
(本書をポジティブに評価するエントリ)
http://mis-trading.seesaa.net/article/114516996.html
http://www.104ka.com/2007/09/post_409.html
http://bestbook.livedoor.biz/archives/50271894.html
(本書に対して微妙な評価をするエントリ)
http://shoulder.jp/archives/007254.php
http://ameblo.jp/powervision/entry-10082477108.html
http://ameblo.jp/ligaya-partners/entry-10041988147.html

本書を読むと、「日本の富裕層≒医者か土地持ち」ということが分かる。
……が、それって、このグローバリゼーションされた世界における、先進国の社会設計として正しいんだろうか?





タグ:☆★ 三浦展
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