SSブログ

古い品質重視主義の否定だが……:「日本品質」で世界を制す! [経済]


「日本品質」で世界を制す!

「日本品質」で世界を制す!

  • 作者: 遠藤 功
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2010/09/25
  • メディア: 単行本



韓国・中国に追い上げられ、青息吐息の日本経済。
本書はそうした状況への処方箋として、大学教授の筆者が、日本が得意としていた旧来型の「機能的品質」から「情緒的品質」への転換を促す内容となっている。

【目次】
はじめに
第1部 「日本品質」を守る
 第1章 品質は本当に危機なのか
 第2章 「日本品質」を守るための本質的課題
 第3章 「日本品質」を守るための二つの視点
第2部 「日本品質」で攻める
 第4章 「情緒的品質」こそ日本の生命線
 第5章 「情緒的品質」を高めるための三つのS
 第6章 高品質サービスで攻める
第3部 「日本品質」を創る
 第7章 品質とは「企業戦略」
 第8章 「日本品質」創造のための四つの提言
おわりに
参考文献


本書はトヨタの大規模リコールなど、最近の報道を賑わした日本の品質問題をきっかけにスタートする。
そして、データを元に、旧来の意味での日本の品質はあまり落ちていないことを明らかにした上で、その反面中国・韓国のメーカーの品質も上がってきており、旧来の品質では差別化が図れないと結論づける。

そういうと、日本経済に先はないのかと思いたくなるが、筆者はそうした暗い将来に対する回答も準備している。

その回答は、壊れない・ばらつきがない・性能が高いといった従来型の「機能的品質」だけにこだわるのではダメ。機能的品質を軸にした上で、ストーリー・サプライコントロール・サービスという三つのSを駆使して「情緒的品質」を高めて、高付加価値路線で売っていくことで、世界と戦うと言うものだ。

今までの物作りが行き詰まりを見せているという認識では野口悠紀雄などと同じなのだが、製造業という業種自体を否定しないことは筆者の特徴でもある

誤解を恐れず大胆に言えば、ニンテンドーやアップルコンピュータのようなソフトウェアに絡めた製造業と、ちょっと昔のシャープ”亀山モデル”型製造業を共に希望があるビジネスモデルと考えて居る様に見受けられる。

もちろん「情緒的品質」によるブランド構築は一朝一夕になる訳ではないだろうし、全ての商品で可能な訳でもない。
それでも、不況に苦しみ続ける日本企業への一つの処方箋としては十分ありな内容となっている。
日本経済全体に対する処方箋でないことを忘れずに読めば、ビジネスに有効な内容だと言えるだろう。

☆☆☆★(☆三つ半)

他のBlogの反応はこちら
(本書をポジティブに評価するエントリ)
http://blogs.itmedia.co.jp/global20/2010/10/post-2a20.html
http://businesscallcenter.seesaa.net/article/164525401.html
http://blog.livedoor.jp/fuku2424/archives/51494821.html

日本にある全ての企業が本書の路線で生き残れる訳ではないのでしょうが、イタリア・フランスモデルとも言えそうな本書の路線は、一定の効果はありそうです。
マクロよりミクロの視点で参考にしたい一冊。





nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。