年金の真の姿を写すラーの鏡:年金は本当にもらえるのか? [社会]
以前、このエントリのコメント欄で、年金について、「未納者は年金を受け取る権利はないから年金財政を悪化させることはないけど、無年金者が増えると結局生活保護等で国家財政が圧迫される(可能性が高い)ので、未納が増えることは大問題」と書いたことがあった。
それに対して、
・未納者は年金を受け取れないのだから、年金財政に悪影響はない
・そもそも、国民年金の未納者は(厚生年金・共済年金を併せた)年金全体から見ると小さな割合
と言う、よくわからない反論をいただいた。
今思うに、この反論をした人は、厚生労働省のキャンペーンに見事に乗せられているだけなのだ。
そうした厚生労働省の欺瞞は、本書を読めば明らかになる。
年金の真の姿、行く末を知りたい人は、本書を読んでみて欲しい。
【目次】
初級編―まずは基本から
とかく複雑で難しいという印象がある年金制度ですが、私のようなまったくの「シロウト」でも理解できるでしょうか?
なぜ、年金制度はバラバラで複雑な仕組みなのでしょうか?
そもそも、年金制度とは、どのように運営されているのでしょうか? ほか
中級編―よくある誤解を正します
子どもが増えれば、年金財政の問題は解決しますか?
パートやアルバイトの人を年金に加入させると、年金財政はよくなるのでしょうか?
厚生労働省は「将来世代でも年金は2・3倍の得」といっていますが、本当ですか? ほか
上級編―年金は変えられます
現在の年金制度は自動安定化装置があるので、今後、年金改革は本当に不要なのでしょうか?
赤字化している年金財政を建て直すための改革は、いつ行われるのでしょうか?
民主党の年金改革で、年金制度は安心できる制度になるのでしょうか? ほか
本書は18問のQ&A方式で構成されており、年金制度の解説・問題の所在を明らかにする初級編、厚生労働省の大本営発表を訂正する中級編、将来に向けた上級編に分かれている。
そして、本書最大の特徴は、厚生労働省に遠慮しない言論となっているところであり、年金の真の姿を明らかにしていることである。
よく言われるような「未納者は年金受給権を失うだけなので何の問題もない」とか「どの世代の人でも年金を払うことはお得」と言った、厚生労働省の嘘を信じている人は、本書を読むべきだ。
役所の影響力は大きく、厚生労働省の主張を裏付ける言論が多く流されている現状だからこそ、対抗言論としての本書は非常に価値が有る。
それにしても、本書を読んで思ったのは、役所の法学重視、経済学軽視の姿勢が大きな足枷になっていると言うこと。本書を読めば分かるが、経済学の初歩とも言える知識が共有されていないので、年金問題のような経済学が大きくかかわる問題ではトンチンカンな対応しかできなくなるのだろう。
思うに、郵政におけるかんぽの宿問題も根っこは同じで、サンクコストの考え方が共有されていないから、100億円かけて造った建物を1/10以下の価格でまとめ売りすることはけしからん、と言った意味不明な反論が力を持ってしまう。
年功序列が発達した霞ヶ関を今から変えていくことは無理なので、少なくとも政治家の人々には初歩の経済学的素養を持って欲しい。そう思わずにはいられない。
とりあえず、年金について考えるには、政府の主張を知ることも大事だが、対抗言論としての本書にも必ず目を通して欲しい。そんな良い出来の一冊である。
☆☆☆☆★(☆四つ半)
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そもそも、年金って国が運用する必要性があるのでしょうか?
これだけ金融が発達している現在なら、年金は個人責任にしてしまっても良いのかもしれません……。
2010-12-16 23:16
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