経済学賞は何時やって来るんでしょうか??:日本にノーベル賞が来る理由 [科学]
ここ数年、日本には毎年ノーベル賞受賞者が誕生している気がしませんか?
実はこれには理由があり、日本の科学者がノーベル賞の傾向に合致しているからなのだ。
ノーベル賞といえども、単純に業績だけで決定されている訳ではない。明らかに、賞としての性格・メッセージ性が存在し、その大方針に基づいて受賞者は選ばれている。
そうしたノーベル賞の大方針を解説したのが本書である。
【目次】
1 幻の物理学賞と坂田昌一、戸塚洋二
2 ノーベル賞を勘違いした日本人
3 究極のパワーバランス
4 「対称性」でノーベル賞を見る
5 知の好循環は回っているか?
6 問われる「ノーベル賞受賞後」の活動
7 「壁」を超えて…世界が日本に期待するもの
平たく言うと、ノーベル賞はダイナマイトと言う大量破壊兵器で財をなしたノーベルの意志で設立されたものであり、その根底には科学を通じた平和の希求が存在する。
特に核兵器についてはその根絶が大きなテーマとなっている。
また、全世界の調和についても重視されており、特に文学賞では地域別のバランスが顕著になっている。
詳細は本書を読んでいただくとして、以上が本書から私が読み取ったノーベル賞の基本方針である。
本書は、ノーベル賞の基本方針、と言っても明文化されていないもの、を日本人受賞者のケースを例にして解き明かしている。
戦後、唯一の被爆国の代表として湯川秀樹が受賞してから、現在日本が世界へ開かれた国として貢献が求められている中で大量の受賞者が増産されていくまでの流れを、理論立てて、わかりやすく解説してくれている。
ノーベル賞の方針については、ノーベル財団が明言しているものではないので、本書の説が正しいかどうかは分からない。
しかし、私は本書の説明に納得したし、本書以上に複雑怪奇なノーベル賞受賞について論理的な説明をしている書物を見たことはない。
本書を読めば、何故黒人のオバマ大統領がたいした実績もないのに核廃絶への訴えだけで、ノーベル平和賞が受賞できたのか?や、村上春樹は候補に挙がりながらも何故受賞に至らないか?について、納得することが出来る。
おそらく、日本人はこれからもノーベル賞を受賞することが続くだろう。
そのときに、本書を読んだことのある人は、受賞理由となった研究の他により深い次元での”理由”を見ることが出来るだろう。
☆☆☆☆(☆四つ)
他のBlogの反応はこちら
http://ufit.blog3.fc2.com/blog-entry-732.html
http://ts.way-nifty.com/makura/2009/01/post-561c.html
http://terran108.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/post-747e.html
http://d.hatena.ne.jp/next49/20090317/p4
http://d.hatena.ne.jp/shy1221/20081224/p1
http://d.hatena.ne.jp/hasen-fus/20090527/1243424136
本書の理論で行くと、日本にノーベル経済学賞が来るには、日本経済が不況を脱して世界に貢献できることが必須でしょう。
そう考えると、過去一番近かったのは、実は日銀の白川総裁だったのではないかという気がします。
結果論であれ何であれ、デフレ脱却がなっていればノーベル賞だった公算は十二分にあったのではないでしょうか。
コメント 0