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フルバージョンはひと味違う:リュパンの冒険 [小説]


リュパンの冒険 (創元推理文庫 107-18 アルセーヌ・リュパン・シリーズ)

リュパンの冒険 (創元推理文庫 107-18 アルセーヌ・リュパン・シリーズ)

  • 作者: モーリス・ルブラン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1965/10/22
  • メディア: 文庫



久しぶりに手に取ってみた一冊。
ルパンのシリーズは子供向けにアレンジされたものをよく読んでいた記憶があるが、通常版の小説だとそれとは違った味わいがある。

本書の内容は推理ものの古典らしく、トリックの目新しさには欠けるものの、キャラクターの造形は魅力たっぷり。今でも十分に楽しめること間違いなし。

と、この本を十分に堪能した後、ふと小学生時代によく読んでいたルパンシリーズの功罪に思いを寄せてしまった。

通常版の本書は、子供向けにデフォルメされたものよりも十分に面白い。
子供向けバージョンは、ルパンにしてもホームズにしてもトリック重視になっていて、人間の心の動きや主人公以外のキャラクターにおける持ち味が薄まっている。
子供向けで分量を削る以上仕方ないのかもしれないが、それで「ルパン」や「ホームズ」を読んだ気になるのは読者にとっても不幸なことだと思う。

子供向けの推理小説が乏しかった昔はいざ知らず、今のように本があふれてきている状況からすると、(特に学校の)図書館からは子供向け「ルパン」・「ホームズ」は撤去した方が良いのではないだろうか?
高学年になれば大人向けの本でも十分に読めるだろうし、無理にまがい物を与える必要もないと思うのだが……。





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