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今こそ必要な精神:小太郎の左腕 [小説]


小太郎の左腕

小太郎の左腕

  • 作者: 和田 竜
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2009/10/28
  • メディア: 単行本



戦国時代のマイナー領主をテーマにした作品。
最近飽和気味のジャンルだし、歴史的正確性を重視しすぎているなど、作品としてはイマイチ。

それでも、本書で描かれているテーマ「勇敢さ」「名誉」は今こそ見つめ直すテーマだと思う。
本書は戦国時代初期の小領主につかえる豪傑が、鉄砲名人の少年と出会い、自らのアイデンティティを取り戻す道筋をえがいている。

筆者の「のぼうの城」あたりから多く見られるようになった時代物の路線で、いい加減飽和状態が見て取れるジャンルなので、内容自体はまあ、平凡。

私が本書で興味を持ったのは、小説自体の完成度ではなく、小説で描かれる病的なまでに「名誉」にこだわり、勇敢であることを至上の価値とする戦国時代の男達だ。
鉄砲玉に当たることを恐れず前線に出て、敵に対しても正々堂々とあろうとする。勇敢であることと、名誉を重んじているその態度こそは、大震災で被害を受けた今の日本に必要な態度であるように思える。

少なくとも、残り少ない命であるにもかかわらず食料を買い込むような人や、災害の大変な地域から逃げ出したにもかかわらず自分勝手な理屈を述べて自己正当化を図るような見苦しい人は本書の価値観にちょっとでも触れてほしい。

内容は凡庸だが、読んだ時期だけにちょっと興味を引いた一冊であった。

☆☆★(☆二つ半)
他のBlogの反応はこちら。
(本書をポジティブに評価するエントリ)
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http://hidebook.seesaa.net/article/141773556.html

悪くはないんだけど、とりたてて良くもないというか。
読みやすいんだけど、あと一息ほしいといったところだと思います。





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