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生きた化石になってませんか?:心理学で何がわかるか [心理学]


心理学で何がわかるか (ちくま新書)

心理学で何がわかるか (ちくま新書)

  • 作者: 村上 宣寛
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2009/09
  • メディア: 新書



・ 兄は兄らしい性格、妹は妹らしい性格になる。
・ 親の育児態度は性格や気質に永続的な影響を与える。
・ 乳幼児は他人の心が理解できない。
・ 自由意志は存在する。
・ 幽体離脱体験は本当だ。
・ 乳幼児は長期間、物事を記憶できない。
・ 記憶力は鍛えれば強くなる。
・ 女性の理想の相手は、自分をもっとも愛してくれる人である。
・ トラウマは抑圧される。
・ 暴力的映像は暴力を助長する。
・ うつ病の治療には薬物療法が効果的である



まさか、こんなことは信じてないでしょうね?

ごめんなさい。信じてました……

こんな私みたいな人は必読。
日本で”心理学”として扱われている学問の遅れ・歪みがよくわかる。

【目次】
第1章 心理学とは
第2章 人柄は遺伝で決まるか
第3章 人間は賢いか
第4章 意識の謎
第5章 記憶は確かか
第6章 人と人の間で
第7章 異常な世界へ


冒頭に出した、筆者の問い掛けの引用。
これの多くは古い研究成果で、今では科学的に否定されている事実である。
ところが、日本の心理学は遅れている(うえに、ガラパゴス化している)から、今でも信じている人が多い内容だ。

私も「うつ病の治療には薬物療法が効果的である」なんていうのは信じていたが、実際のデータでは薬物よりも運動のほうが効果があることがはっきりとしている。
このあたりの、思い込みによる医学と科学に基づいた医学の違いについては、「代替医療のトリック」をあわせて読むとより、理解が進むと思われる。
今の日本で心理学として信じられている俗説の多くは、瀉血によって病気を治そうとしていた中世のレベルに留まっている。

TVドラマや小説では万能の科学として描かれることの多い心理学。
でも、日本における貧弱な実態と、間違った俗説から脱却するために本書には是非目を通しておいたほうがいい。
メッキのハゲた”心理学”と、それでも役に立つ”心理学”がよくわかる良書である。

☆☆☆☆★(☆四つ半)

他のBlogの反応はこちら。
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2010/03/post-421c.html
http://d.hatena.ne.jp/bem21st/20100813/p1
http://mmaehara.blog56.fc2.com/blog-entry-1828.html
http://d.hatena.ne.jp/kudzu/20090928/1254153603
http://blog.goo.ne.jp/zen-en/e/14b77aa0b534e1a63c0ac5a63b59ffdd
http://soramame-shiki.seesaa.net/article/128029043.html

そうそう、本書で気になったのは「親の育児態度は性格や気質に永続的な影響を与える。」も嘘だということ。
子育てで天才を作ることはできないし、よっぽどでなければ、育児は失敗しない。
このへんは「心はどのように遺伝するか」でも述べられていたのに、まだまだ世の中の常識とは程遠いよな……。






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