読書ガイドとしても超一流:ミステリーの書き方 [文章]
表紙を見てわかるとおり、一級の作家がミステリの書き方についてインタビュー形式で答えた本。
後述の目次に名前が出ている人以外にも、二階堂黎人、石田衣良、横山秀夫、森村誠一、岩井志麻子など売れ筋の作家がてんこ盛り。
【目次】
第1章 ミステリーとは
はじめに人ありき(福井晴敏)
ミステリーを使う視点(天童荒太) ほか
第2章 ミステリーを書く前に
オリジナリティがあるアイデアの探し方(東野圭吾)
どうしても書かなければ、と思うとき(法月綸太郎) ほか
第3章 ミステリーを書く
プロットの作り方(宮部みゆき)
プロットの作り方(乙一) ほか
第4章 ミステリーをより面白くする
書き出しで読者を掴め!(伊坂幸太郎)
手がかりの埋め方(赤川次郎) ほか
第5章 ミステリー作家として
シリーズの書き方(大沢在昌)
連作ミステリの私的方法論(北森鴻) ほか
本書は推理作家協会所属の作家にアンケートを送り、そのうちの何名かにインタビュー形式でテーマを掘り下げ、「ミステリーの書き方」としてまとめた一冊。
精神論あり、技術論あり、そもそも笑いを取りに行っている文章ありでなかなかに興味深い。
本書は一粒で三度おいしい本である。
一つ目は、「ミステリーの書き方」の指南書として。
自分の好きな作家の書き方を読み込むのもよし、自分にあっていると思う方法論を取るもよし。
沢山の作家が書いているだけあって、多くの手法がある。これだけでも十分に価値がある。
二つ目は、作家のキャラクターを知るファンブックとして。
作家が自分で大事にしているスタイルや自分のこだわりを書いてくれているので、自分の好きな作家を知るインタビュー本としても高いレベルでまとまっている。
そして、最後は読書ガイドとして。
ミステリの書き方に関連して、○○を読んで感動した。とか、△△のトリックは勉強になる。といった内容をそれぞれの作家が語っている。
詳細は本書を見て欲しいが、本書で取り上げられた本を読むだけで、1年間のフィクション成分はお腹いっぱいになるだろう。
ここで登場する作家の作品を読み込むもよし、作家がインタビューで出した作品を読み込むもよし、読書ガイドとして使い倒してから、おもむろに自分でも作品を作ってみてはどうだろうか?
本書は、いろいろな使い方で、最後の最後まで使い倒せる一冊だ。
☆☆☆☆(☆四つ)
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乙一、東野圭吾、大沢在昌、森村誠一……。
それぞれに言及されている作家が異なります。それだけ濃い一冊と言えるでしょう。
ちなみに、私が一番内容として書くために使えると思ったのは朱川湊人、中身が面白かったのは黒川博行です。
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2011-04-12 23:24
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