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中国の盗賊王朝:中国の大盗賊・完全版 [歴史]


中国の大盗賊・完全版 (講談社現代新書)

中国の大盗賊・完全版 (講談社現代新書)

  • 作者: 高島 俊男
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/10/19
  • メディア: 新書



○日本人の盗賊のイメージ
夜中にお金持ちの家に入って、金品を盗む。有名所は石川五右衛門。
○中国の盗賊
徒党を組んで、村や都市を襲い、金品・食料・女を奪い去る。日本人だと山賊、海賊の類といったほうがイメージが近い。

そして、中国の盗賊は、大きくなると国まで奪ってしまう
本書は、そうした国を奪うまでに大きくなった中国の盗賊のストーリーである。

【目次】
序章 「盗賊」とはどういうものか
第1章 元祖盗賊皇帝―陳勝・劉邦
第2章 玉座に登った乞食坊主―朱元璋
第3章 人気は抜群われらの闖王―李自成
第4章 十字架かついだ落第書生―洪秀全
第5章 これぞキワメツケ最後の盗賊皇帝―毛沢東


目次で注目して欲しいのは第5章。
「第5章 これぞキワメツケ最後の盗賊皇帝―毛沢東」
とあるように、本書のキーポイントは、毛沢東を大盗賊と定義した上で、国を奪った類似の大盗賊として劉邦・朱元璋・李自成・洪秀全を挙げているところだ。

そして、毛沢東はもとより、過去の大盗賊は人間的にもどこか変わったところがあり、お話として読む分には非常に面白い。その盗賊の人間的持ち味が本書の魅力になっている。
・若いヤクザに慕われるちょい悪オヤジ劉邦。
・盗賊で成り上がろうと決めて、本当に天下をとってしまった朱元璋。
・行き当たりばったりで三日天下を実現して、今でも人気の李自成。
・科挙に落ち続け、やけになって新興宗教の教祖になった洪秀全。
そして、
・最大の知性を持ちながら、内政の手腕はからっきしだった大盗賊毛沢東。
長い歴史を持つ中国でその名が残っている大物たちだけあって、一癖も二癖もあるキャラクターが揃っているので、本書は読んでいて飽きることがない。

そんな面白い本でありながら、中国人の気質にまで迫る歴史的真実を含んでいるのだから、本書は実にお買い得だ。最近のノウハウ的新書にはない、しっかりとした骨組みと面白さを兼ね備えた値打ちもんの一冊。

それにしても、中国の歴代王朝のうちメジャーなものを並べると、
殷、秦、(前漢・後漢)、随、唐、宋、中華民国中華人民共和国
このうち、太字が本書でも出てくる盗賊王朝。イタリックが異民族の王朝。
なんというか、非常にダイナミックな歴史である。

☆☆☆☆★(☆四つ半)

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皆さん高評価。
これなら「完全版」をだした価値は十分。
当初これを縮小した編集者は見る目がないなぁ……。





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