昔気質の職人たち:プロ野球スカウトの眼はすべて「節穴」である [スポーツ]
元プロ野球ヤクルト球団のスカウト部長が実名で書いた、プロ野球スカウトの実態。
スカウトはどういう基準で選手を見ているのか、裏金はあるのか、スカウトと監督の関係などなど、野球好きには興味のわく一冊。
【目次】
はじめに
第一章 20年に一人の逸材・高橋由伸
第二章 スカウトの表側
第三章 スカウトの裏側
第四章 誰が「金の卵」を殺すのか
第五章 長嶋一茂と野村克也
第六章 赤く染まった神宮の空
おわりに
目次を見ればわかるように、本書は、すべて実名で書かれている。
このことがプロ野球ファンの興味を引きつける。
スカウトの専門家から見た、あの選手の評価はこうなっているのか。などと、野次馬根性丸出しで見ることができるので、プロ野球のファン。しかも、古ければ古いほど興味を持って読むことができるだろう。
野球ファンの野次馬根性をくすぐり、等しく薦められる一冊だ。
と、ここまでが一般的な本書の書評。
これから先は、余談になるのだが、私は本書を読んで、スカウトについて思ったことが一つ。
なぜスカウトは職人芸の世界にとどまろうとするのだろうか?
本書を見ていると、スカウトは自分の勘に基づいて選手の指名を決めているし、それが普通のことだと思っているフシがある。
しかし、その方式は本当にベストなのだろうか?
ベテランスカウトが抜けると、ノウハウは当然に共有されず、いい選手が供給されなくなる。
また、スカウトの理由に再現性がないので、同じ失敗を繰り返すことになる。
野球のファンなら、どのチームはどのタイプの選手を好んでスカウトするといった傾向が見えているだろうが、それがうまくいっているかの検証がされた形跡はない。
多くの企業で、PDCAサイクルを用い、常に検証を繰り返してビジネスの質を高めようと努力しているのとは非常に対照的だ。
本書は野球ファンとしては十分に楽しめた。
ビジネスマンとしては、仕事のあらが目について、自ら改善したくなる思いに駆られた。
☆☆☆(☆三つ)
他のBlogの反応はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/rainbow-dash/20110301/1298939048
http://www.consadole.net/kaz8/article/3066
http://shyu7102.exblog.jp/12264191/
http://nsu.txt-nifty.com/wrightsville/2011/03/post-1427.html
http://office-k-sr-koji.at.webry.info/201103/article_5.html
本書とは正反対の立場である、「マネー・ボール」なども、合わせて読んでみると面白いかもしれません。
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