宗教+オフショア金融機関=バチカン銀行:バチカン株式会社―金融市場を動かす神の汚れた手 [社会]
国の中に、オフショア金融機関があればどうなるか?
通常は、時刻の金融機関保護やアンチマネロンを理由に自国民がオフショア金融機関を利用するのを制限する。
イタリアの中にあるバチカンも同様。
通常の感覚で言えば、イタリア人はバチカンの金融機関利用を制限されるはずなのだが……。
カトリックの影響力なのか、イタリアの制度上の問題かは知らないが、なぜかイタリア人がバチカンの金融機関を自由に使用し、それが汚職・投機といった問題を引き起こす。
金融と宗教が融合した非常に難しい問題に迫った一冊。
【目次】
いまバチカンで何が起きているのか
第1部 バチカンの秘密文書
マルチンクスの繁栄と没落
イタリア首相の裏口座
架空名義の口座群
動き出した巨額賄賂
司法当局対バチカン銀行 ほか
第2部 マフィアとバチカン
高位聖職者たちの陰謀
告発されたバチカン
本書で描かれているバチカン銀行は、聖職者が運営しているとはとても思えない。
イタリア人の預金を受け入れ、複雑な投機的取引を行い、巨額の利益をたたき出す。
そして、巨額の利益の一部を政治家への賄賂として使い、さらには、マフィアの資金のマネーロンダリングにも加担する。
そんな悪行をこなしながらも、バチカン市国の権利をもとにイタリアの司法介入を拒む。
はっきり言って、とても聖職者が取るべき行動ではない。
だが、そうした極悪な行動は実際に行われていて、しかも、野放しになっている。
カトリックの信者の人が読めば、憤慨して最後まで読むことができないかもしれない。
それほどまでに衝撃的な一冊だが、あなたの知らない世界がそこにはあるので、本書を読む人にとってはたまらなく面白い。
本書を書いたジャーナリストが消されずに今も生きているのかどうかは知らないが、これぞジャーナリズムという骨のある作品。分厚い外見に怯えることなく、是非トライしてほしい。
☆☆☆★(☆三つ半)
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皆さんがおっしゃるように、映画化されそうなストーリー。
「アンタッチャブル」よりもドロドロした悪人を描き出すことができるだろう。
ただ、映画化するには、バチカン銀行という巨悪を追い詰める正義が必要なのが最大の問題点かもしれない。
タグ:ジャンルイージ・ヌッツイ ☆☆☆★
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