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車を作る職人より、会議室で資料を作る官僚の方が給与が高いのはなぜか?:禁欲と強欲 デフレ不況の考え方 [経済]


禁欲と強欲 デフレ不況の考え方

禁欲と強欲 デフレ不況の考え方

  • 作者: 吉本 佳生
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/03/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



賢者の贈り物」の主人公は、賢い消費者だろうか?
との問で始まる本書は、経済学者と消費社会論の学者が”消費”と”経済”について論じている。
タイトル、筆者、紹介文などからは経済学の本に見えるかもしれないが、中身は経済というより哲学の毛色のほうが濃い一冊に仕上がっている。

【目次】
第一章 賢者の消費、愚者の金融
第二章 有益は低価値、無益だからこそ高価値
第三章 禁欲が生み、金融が増幅させる、消費への欲望
第四章 消費と金融は、現代人をどこに向かわせるか?


本書で興味を持ったことの一つは”消費”の意味。
経済学的には、消費とは効用を得るための行動。
サービスで楽しんだり、必要な物品を入手したりするために、消費する。

では、相手を思ってプレゼントを贈ろうとしたが、そのプレゼントが無駄になってしまう「賢者の贈り物」のエピソードは、無駄な消費だったのだろうか?

「経済人」なら、無駄な消費だと思うだろう。
だが、実際はそうではない。役に立たない贈り物でも、相手のことを思ってお金を使うという”消費”。もっと言うならば、単なる”焼尽”でも、財産を使うという行動自体に意味は存在する。

このように、初歩の経済学からは当然でも、現実の常識を知っていると違和感を感じる事例を中心に、経済学者と社会学者が「消費」について語る一冊。
意外と歯ごたえはあるが、経済学の本をいくつか読んだ人なら、毛色が違って楽しめるだろう。

☆☆☆(☆3つ)

ちなみに、タイトルの「車を作る職人より、会議室でよくわからない資料を作る人の給料がいいのはなぜか?」。資料と作る人のほうが代替性が低い(車を作るのは誰でもできるので、競争が激しい)と答えるのは50点。そこから先の議論が本書で話されていて、その結論は非常に興味深かった。

他のBlogの反応はこちら。
http://nakatsutkdc.blog.so-net.ne.jp/2010-12-20
http://blog.goo.ne.jp/ni836000/e/b7a088c7deb33174b89fc5eecb6fcb60?fm=rss
http://okashi.blog6.fc2.com/blog-entry-7213.html
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