日本有数の衰退産業:潜入ルポ ヤクザの修羅場 [社会]
暴力団専門誌
こんな変わった雑誌があるのをご存知だろうか?
「実話時代」のように、暴力団のインタビューや暴力団関連記事が掲載され、全国10万人と言われる暴力団の構成員(+その周辺関係者)をメインターゲットとする雑誌だ。
(ニッチ狙いの典型のようなビジネスモデル!!)
本書は、元暴力団専門誌の編集長で、暴力団を主な取材対象とするライターの筆者が、日本の暴力団について書いた一冊。
本書を読めば、今まで暴力団とはなんの縁もなかった人(おそらく、警察関係者以外の多くの勤め人が該当するだろう)が、暴力団を取り巻く最新状況を知ることができる。
【目次】
序章 山口組vs.警察
第1章 ヤクザマンション物語
第2章 ヤクザ専門誌の世界
第3章 愚連隊の帝王・加納貢
第4章 西成ディープウエスト
終章 暴力団と暴力団専門ライターの未来
ライターの筆者らしく、本書は各章毎に違った切り口で書かれているが、第三章以外からは現状の暴力団についての状況がよく伝わってくる。
そして、筆者の分析によると、暴力団の世界は衰退産業だということだ。
警察の締め付けは厳しくなる。
地方や中小商店が厳しくなるに従い、暴力団の収入も少なくなってくる。
大企業も昔のように、暴力団を警備会社替わりに使うことはできない。
暴力団を取り巻く状況は、一般企業以上に厳しく、しかも、好転する見込みはない。
こうした状況を語りつつ、筆者は暴力団(と、それをメイン顧客とする暴力団専門誌)を衰退産業として結論づけている。
最近のコンビニなどには、暴力団を主人公とし、それを美化したような漫画・雑誌がおいてあることが多い。
だが、現実は、暴力団こそ追い込まれているのだ。
暴力団を壊滅させた世界が本当に市民が望んだものになるかは誰もわからないが、遠からず、暴力団は衰退し、今とは違った形を取らざるを得なくなるだろう。
暴力団についての現状と、ヤクザの実態及び、ちょっとした豆知識が手に入る本書。
本書を仕事に生かせるのは特殊なライターと警察関係者ぐらいだろうからあまり実用的な本ではないが、野次馬的興味で読むなら面白い一冊である。
☆☆☆(☆3つ)
それにしても、衰退産業としてのヤクザが取る道は海外進出である。という結論まで、一般企業の場合と同じであることは非常に興味深い。
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ちなみに、警察が本当に暴力団壊滅を願うなら、農水省に自分たちの天下りを分けてあげるかわりに、競馬のテラ銭を下げるようバーター取引を持ちかけるといいと思うよ。
2011-08-13 22:16
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