SSブログ

白熱教室の作り方:サンデル教授の対話術 [哲学]


サンデル教授の対話術 ( )

サンデル教授の対話術 ( )

  • 作者: マイケル・サンデル
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2011/03/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



ハーバード白熱教室」で一躍有名になった、ハーバード大マイケル・サンデル教授の授業法に焦点を当てた一冊。

第一章、第二章がサンデル教授本人の授業法、教育に関する考え方についてのインタビュー。インタビュアーは千葉大の小林正弥教授だ。
そして、付論で小林教授がサンデル教授の授業法「対話型講義」についての解説を行っている。

あれだけの授業を行う人が、教授法について語った本なので、内容は非常に豊富であり、得るものの大きい一冊だ。

【目次】
第1部 サンデル教授、大いに語る―対話型講義をめぐって
 自分自身のこと
 対話型講義とはどのようなものか
 講義法について
 ハーバード大学の講義とその学生たち
 東京大学での特別講義
 日本とコミュニタリアニズム
 アメリカと「市場の道徳的限界」
 今日における正義と哲学
第2部 現代に甦るソクラテス的対話―サンデル教授から学ぶ講義術
 大学に甦る対話篇・ハーバード白熱教室
 サンデル教授の講義術
 日本における対話型講義の技術
 対話型講義による教育改革を
 対話型講義の美徳―その実践に関心を持つ人々へ
付論 近現代的正義論から古典的正義論へ―新しい正義論への道


私は大学時代法学部であり、法哲学の単位も取得している。
ただ、法哲学の授業は単調で、あまり印象にのこるものではなかった。
そして、大学を卒業して社会人になり、10年以上の時間を経過してから、「ハーバード白熱教室」を見て感激と、後悔の念に囚われた。
このぐらいの授業が母校にもあれば、私の人生はより深いものになっていたかもしれないのに……

こんな公開をする若い人を減らしたい。
本書の出版に協力し、解説も行っている小林教授はおそらく、そうした思いも持っていることだろう。
本書で語られる、「対話型講義」への熱い想いからは、日本の教育変革についての熱意が伝わってくる。

哲学はもちろんそうだが、私の学んだ法学・政治学も、一つの解が存在するという学問ではない。
そうした、唯一解が存在しない学問においては、本書で紹介されているような、議論を通じて理解と興味・知識を増やしていく「対話型講義」は非常に向いているように思われる。

もちろん、「対話型講義」も一過性のブームかもしれないのだが、今の教育が生徒に十分な満足感を与えているとは思えない状況で、現状を打破しうる一つの手段であることは間違い無いだろう。

「対話型講義」のテクニックと、サンデル教授の教育にかける思い。
この2つが詰まった本書は、教育関係者なら必読。
その他にも、企業で新人育成に携わる人にも有用であるなど、応用範囲は広い

後輩・新人を育成する中堅サラリーマンにも読んで欲しい一冊である。

☆☆☆☆(☆4つ)

他のBlogの反応はこちら。
http://blog.livedoor.jp/ho_la_tengo/archives/52179196.html
http://blogs.yahoo.co.jp/hiromichit1013/62618916.html
http://matono.exblog.jp/16438607/
http://blog.livedoor.jp/henry_mania/archives/1462021.html
http://www.ayumibooks.jp/2011/03/331.html
http://gyaxin.exblog.jp/15160040

ハーバードは世界一で別格なのかもしれないが、それにしても、世界第三の経済大国で、これだけの授業を望むのが難しいというのは、ひどい現状だと思う。
文部科学省はもっと批判されてもいいんじゃなかろうか?





nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。