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インチキ科学対策ワクチン:もうダマされないための「科学」講義 [科学]


もうダマされないための「科学」講義 (光文社新書)

もうダマされないための「科学」講義 (光文社新書)

  • 作者: 菊池 誠
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2011/09/16
  • メディア: 新書



世の中にはインチキ科学が溢れている。
ちょっと有名なだけでも、ゲルマニウム温浴だとか、遺伝子組み換え食品の恐怖だとか。道徳系では、ゲーム脳の恐怖だとか、水からの伝言なんていうのもある。

ところが、マイナスイオン家電が流行った際に、マスコミは何の叫弾もしなかったように、日本のマスコミはインチキ科学に対して非常に頼りない。
むしろ、インチキ科学に加担することすら、あるぐらいだ。

そこで、本書で書かれている基本的な考え方を、ワクチンとして身につけておくことが重要になるのだ。
【目次】
1章 科学と科学ではないもの 菊池誠
 「科学っぽいもの」を疑ってみる
 科学を装う科学ではないもの
 「正しい間違い」は科学である
 証明できない「科学」、証明しようのない「ニセ科学」
 ニセ科学の周辺
 希望をかなえてしまう科学
 ニセ科学と民主主義
 よくある質問とその答え
 マイナスイオンブームはどうやって作られたか
 希望が科学の使い方を歪めてしまう
 「疫学的思考」の重要性
 他の知識との整合性
 誰が科学を魔法にしてしまうのか
 おわりに
2章 科学の拡大と科学哲学の使い道 伊勢田哲治
 科学の領域から科学がはみ出すとき
 「ローカルな知」と「モード2科学」
 なぜ「モード2」が必要なのか?
 モード2と人文学
 環境保全におけるモード2
 ローカルな知が霞ヶ浦をよみがえらせる
 境界設定問題と反証可能性
 境界設定問題とゲルマニウム・ブレスレット
 「脳」をめぐる俗信とモード2科学は同じ?
 科学哲学が環境問題にできること
 「内容」そのものではなく「態度」で判断する
3章 報道はどのように科学をゆがめるのか 松永和紀
 「生活に密着した科学」への誤解
 エコナ問題とはなにか
 一般の食品に、発がん物質はごまんとある
 「発がん性」という言葉の向こう側を見る
 「ゼロリスク」という幻想
 政治が食の安全に介入するとき
 検証を欠いたトピックが一人歩きする
 「遺伝子組換え食品は食べていない」は本当か?
 そもそも「遺伝子組換え」とは?
 遺伝子組換え作物の環境への影響は?
 「危険はない」と言い切れない科学者
 遺伝子組換えが生態系を破壊する?
 強い作物がすべてを駆逐する?
 農業と無縁の暮らしが誤解を広げている
 科学を伝えることの難しさ
 「警鐘」「極端」には商品価値がある
 政治、言論......懸念すべき動き
 市民とメディアは正しい情報を共有できるのか
4章 3・11以降の科学技術コミュニケーションの課題

----日本版「信頼の危機」とその応答 平川秀幸 「想定外」を想定する社会へ/「信頼の危機」という問題----BSEの衝撃/「理解」から「対話」への転換/「欠如モデル」とその限界/民主化される「専門性」/日本版「信頼の危機」を超えて/日本的に変奏されるサイエンスカフェ/「理科離れ」というもう一つの危機/2000年代の科学コミュニケーションの「生ぬるさ」/一変した「知のポートフォリオ」/メディアに「原発」の文字が躍り続ける日常/科学だけでは答えられない領域----トランスサイエンス的問題/3・11以降のトランスサイエンス的問題/これからの科学技術コミュニケーションの課題/私たちも主役に、そして分断を超えて
付録 放射性物質をめぐるあやしい情報と不安に付け込む人たち 片瀬久美子


本書を読めばわかるのだが、インチキ科学に対抗することは、非常に難しい。

なぜなら、正当な科学者は科学者であるがゆえに断定的な物言いを避けるし、(特に医薬品では、法律に縛られて)表現も規制されている。
それに対して、インチキ科学側は何の規制もなく、(どんな癌でも100%治ります。といったように)どんな表現でも使うことができる。
正当科学の側は非常に重たいハンディキャップを付けられて戦っているようなものだ。

本来は消費者庁は、そういうインチキ科学や、ニセ科学を使った商売に対して厳しい態度で挑まなくてはいけないのだが、もともと余り物のような役所でろくな権限がない上に、憲法で保証された”表現の自由”のせいで、ほとんど何の手出しもできていない

また、冒頭にも書いたようにマスコミも文系の就職が多く、専門知識がないため、この問題には殆ど役に立たない(文系が多いなら、インチキ投資ぐらいは啓発すればいいのにと思うことはあるが)。

そして、学校の先生は世間知らずなので、インチキ科学対抗法などは当然教えてくれない。
むしろ、騙されて、水からの伝言なんかを流行らせちゃったりしている

このように、日本ではインチキ科学はほとんど野放しの状態で、日々新たなカモを探している。
そうした状況では、自分で知識を蓄えて、インチキ科学に騙されないようにするしか無い。
そうしたインチキ科学予防に対して、本書は最も基本的で、有効な手段になるだろう。

☆☆☆☆(☆4つ)

他のBlogの反応はこちら。
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http://d.hatena.ne.jp/ohira-y/20111023/1319381052

賛否両論あるものの、私が昔の記憶から書いたのが恥ずかしくなるぐらい、しっかりとしたエントリが多い。
本書を読むような人は、どうであれインチキ科学に一方的にダマされることはないだろう。
問題は、本書なんか手に取ろうとも思えないような人が、インチキ科学に搾取されているということ
ここをどうするかは大きな課題だと思う。





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