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時流にはのっているが異端の説:日本経済の奇妙な常識 [経済]


日本経済の奇妙な常識 (講談社現代新書)

日本経済の奇妙な常識 (講談社現代新書)

  • 作者: 吉本 佳生
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/10/18
  • メディア: 新書



最近の乱高下する経済について新たな学説を提示している一冊。

なぜ、ポートフォリオ理論で証明されているにもかかわらず、
分散投資ですべての資産が一様に下落してしまうのか?

なぜ、コモディティ価格が上昇しても、日本はデフレ傾向から脱却できないのか?

と言った、幾つかのテーマについて、筆者の独自理論が展開されている。

【目次】
はじめに 日本経済の奇妙な常識をくつがえす
第1章  アメリカ国債の謎(コナンドラム)
第2章  資源価格高騰と日本の賃金デフレ
第3章  暴落とリスクの金融経済学
第4章  円高対策という名の通貨戦争
第5章  財源を考える――消費税の段階的増税vs.デリバティブ国債
おわりに


筆者の吉本佳生は、わかりやすくて面白い文章を書くことには定評がある。
当節の経済学者の中では、鼻につく表現がなく、読みやすいといった点では、表現の第一人者かもしれない。

その筆者が、米国債と円相場を中心に、現在の経済学に対して異論を唱えているのが本書。

例えば、分散投資でリスクを下げた投資ができるはずなのに、なぜ最近はすべての資産が同じ方向に値動きし、分散投資の効果を享受できないのであろうか?

筆者はこの問に対して、国際的な投機資金は金余り状態になり、一つの資産(例えば欧州株式)が暴落すると、損切りのために他の資産を売ってくるので暴落が起きやすいと解説している。
図表がしっかりと添付されていることもあり、読んでいて良非常にわかりやすい。


が、本書に書かれていることをそのまま信じる人は、詐欺に騙されやすい人だと言えるだろう。

今や遠い過去になってしまったが、「発掘あるある大辞典」でヤラセがあった時の教訓は、本当に画期的な発見ならば日本のTV局が第一発見者になることはなく、しかるべき論文の発表や特許の取得が先に来るはず。というものであった。

本書に対する姿勢もまた同じであるべきだ。
日本語で書かれた新書で画期的な発見が第一になされる可能性は低い(筆者は元々学者だし、他の本を見ても大法螺吹きというタイプではないので、大きな嘘や悪意はないだろうが……)。
一般人の取るべき態度としては、こんな考えもあるということを頭にいれながらも、あくまでも主流派の議論ではないことを認識した上で、本書を楽しむべきだ。

本書は、あくまでも異端の独自説をわかりやすくかいた本。
そのスタンスを持ち続けることができるのならば、独自性がある分、読み物としては面白い。

☆☆☆★(☆3つ半)

他のBlogの反応はこちら。
http://blogs.dion.ne.jp/matusita/archives/10533781.html
http://ikadoku.blog76.fc2.com/blog-entry-1319.html
http://gotomydreams.blog77.fc2.com/blog-entry-301.html
http://tsunoken.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/post-e004.html
http://blog.livedoor.jp/ron222/archives/51802491.html

ちなみに、全部が独自切なわけではなく、”現在は円高ではない”と言った、至極まっとうな議論もあります。
だから余計にややこしいのですが……。







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