破産の原因と苦しみと:自己破産の現場 [社会]
元信販会社の社員が書いた、自己破産者のルポルタージュ。
少し古い本だが、自己破産の実態がよく分かる一冊。
借金で首が回らない事態にならないためにも役立つ内容だ。
【目次】
第1章 現実編
第2章 破滅編
第3章 地獄編
第4章 天国編
第5章 司法の現場は…
第6章 復活への道
本書が出版された2003年から見ると、現在の状況は隔世の感がある。
現在はTVCMや電車の中吊り広告に、破産専門弁護士の広告が溢れ、自己破産・民事再生は非常に身近なものになってしまった。
ところが、どういった事態で破産に陥るか?というところは意外と知られていない。
いや、ヤミ金やサラ金・カードローンなど高利の借金をすると最終的には破産に行き着くというのはよく知られているのだが、なぜそうした借金に手を出さざるをえないのか?というところは意外と曖昧である。
本書はそうした部分を省くことなく、信販会社の社員経験のある筆者が目にした内容を克明にえがいている。
デート商法、マルチ商法、財テク失敗、自爆営業、高齢者をカモにした訪問販売、単なる浪費……。
色々な原因で事故破産に陥ってしまった人々の実情がよく描かれている。
そして、破産をすればどうなるのか?
世間で言われているように、ほぼノーリスクで借金がゼロになるのだが、当然資産もゼロになるので生活は苦しいままだ。それでも救われる人がいるのは事実だが。
破産の原因と行き着く先。その実情を描いた本書は今でも十分読むに値する。
「ナニワ金融道」や「闇金ウシジマくん」といった漫画も読みやすく、借金による地獄がわかるのでいいのだが、本書には誇張されていない現実がある。
社会に出る新成人にはおすすめしたい一冊だ。
☆☆☆☆(☆4つ)
他のBlogの反応はこちら。
http://kabushiki.blog32.fc2.com/blog-entry-1364.html
http://d.hatena.ne.jp/Tenty-17/20080107/1199717408
古い本だし、エントリは少なめ。
本書を読んで思ったのだが、悪徳商法の被害者に貸し付ける信販会社はなんとか規制できないものだろうか?金利や貸付総額を規制する社会主義的方法より、悪徳商法をターゲットにした規制のほうが弊害は少なく、社会のためになると思うのだが……。
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