運命のはかなさ:パラドックス13 [小説]
東野圭吾の描く「サバイバル」。
さいとう・たかをの漫画「サバイバル」は自然の脅威がはっきりと分かる構成だったが、東野圭吾の本書は、自然よりも人間に焦点があわさった作品。
人間の怖さ、不思議さ、強さ、そして運命の不条理が非常によく分かる。
本書は、数人の男女が他に人間がいなくなった日本でサバイバル生活を送るストーリー。
最初は生き残ることを目的に一致団結しているが、過酷な状況から来る疲れ、目標が見えてきた時点での方針の違い、人間のエゴによってグループは分裂していく。
東野圭吾だけあって、人間の心理描写は素晴らしい出来。
一人ひとりの登場人物に感情移入しながら一気に読みきってしまう。
そして、心理描写の他に、筆者の持ち味が出ているのは運命の残酷さ。
メンバーの中で一番力がなく、他人の助けがなくては生きていけない人が最期まで生き残ってしまう。
逆に、サバイバルに向いていそうなメンバーでも最後まで生き残ることができない人もいる。
終わったと思った最後のシーンでの河瀬に起こった出来事を含めて、運命の残酷さを描かせると筆者は非常にうまい。
キャラクター・舞台・ストーリーと全てが高い水準でまとまった作品。
どんな人にもお薦めできる。
☆☆☆☆(☆4つ)
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意外と賛否両論。
東野圭吾と言えば、推理モノのイメージが強すぎるのか……。
私のように、筆者の典型的な作品だと思えない人も多かったようです。
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