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日本人が幸せになるために:(日本人) [その他]


(日本人)

(日本人)

  • 作者: 橘 玲
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2012/05/11
  • メディア: 単行本



売れっ子芸人の母親が生活保護を受給していたニュースが問題になった。
あのニュースを見た人はどんな感想を持っただろうか?
公式なニュースに出てくるコメントは「浅ましい」だとか「日本人の品位が感じられない」といった非難コメントが多い。

だが、本書によると、そうした行動は実に「日本人」的な行動なのだ。


【目次】
はじめに―「日本人」をカッコに入れる
0.ほほえみの国
RART1 LOCAL
1.武士道とエヴァンゲリオン
2.「日本人」というオリエンタリズム
3.「愛の不毛」を進化論で説明する
4.「人間の本性」は進化から生まれた
5.コロンブスのタマゴ
6.東洋人の脳、西洋人の脳
7.空気と水
8.「水」からみた日本人論
PART2 GLOBAL
9.グローバリズムはユートピア思想である
10.紀元前のグローバリズム
11.「正義」をめぐる哲学
12.アメリカニズムとはなにか?
13.原発事故と皇太子狙撃事件
14.フクシマの空虚な中心
15.ぼくたちの失敗・政治編
16.ぼくたちの失敗・経済編
PART3 UTOPIA
17.「大いなる停滞」の時代
18.ハシズムとネオリベ
19.電脳空間の評判経済
20.自由のユートピアへ
あとがき―エヴァンゲリオンを伝える者


日本人を論じた書物は人気ジャンルだ。
本Blogのこのエントリで触れた、「日本辺境論」等類書も数多い。

そうした中で、橘玲流日本人論の特徴は、東アジア農耕文化の特徴を除いた上で、残ったものを「日本人」の性質として捉え直そうとする試みだ。
多くの日本人論は米国や欧州、中国といった外国と比べた時の日本人を論じているが、本書は世界の中で日本人を捉えようとしていることが新しいといえよう。

その本書で書かれている日本人最大の特徴は、世界で一番世俗的な国民であるということ。
この世俗性の突出は自由のイメージが強い米国(実は宗教的価値観が強い)や、北欧諸国をも上回る。
筆者はこうした性質を持つ日本人が、世界レベルでは中の上程度の自己表現価値を高めることで、世界でも有数のユートピアを築くことができるのではないかと提言する。

学者が描いた文章ではないので、アカデミックな感じが薄く、読む人によっては信頼性を感じることが出来ないかもしれない。だが、本書の視点は独自性が強く、ありきたりの日本人論よりははるかに値打ちがある

日本人論に飽きた人でも新たな発見があること間違い無しの本書。
アカデミックではなく、ビジネスとして出版されているので分量の割には非常に読みやすいので、気軽にチャレンジしてみるのにピッタリだ。

本書を読めば、私が冒頭で生活保護の不正受給が極めて日本人的な側面を持つと言ったことを理解してもらえると思う。

☆☆☆☆★(☆4つ半)

他のBlogの反応はこちら。
http://m4u.cocolog-nifty.com/podcast/2012/07/post-8415.html
http://sekusi2.blog.fc2.com/blog-entry-54.html
http://kabushiki.blog32.fc2.com/blog-entry-1634.html
http://d.hatena.ne.jp/kiyoshi_net/20120528/1338202412
http://d.hatena.ne.jp/travelbookcafe/20120523/1337724848
http://zaq52.blog51.fc2.com/blog-entry-1861.html

総じて高評価。
筆者の本は面白いものの、過去との重複が気になる部分があったりします。
本書は過去との重複が少ないので、それも高評価の理由でしょうか。






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