みんなが信じることの重要性と、独自性の重要性。：ウォールストリート・ジャーナル式 経済指標 読み方のルール

ウォールストリート・ジャーナル式　経済指標 読み方のルール

• 作者: サイモン・コンスタブル＝著 ／ロバート・Ｅ・ライト＝著／上野泰也＝監訳／高橋璃子＝訳
• 出版社/メーカー: かんき出版
• 発売日: 2012/02/22
• メディア: 単行本（ソフトカバー）

米国株・米国債・FXに投資している人は必読。
基本的な指標の読み方がわかりやすく書いているので、一度目を通しておくと良い。
本書に書かれているような基本的な指標も読めずに投資をすることは（バイ＆ホールドなどを除いて）自殺行為だ。

【目次】
監訳者まえがき
はじめに

■ＰＡＲＴ１　個人消費
●個人消費に関する経済指標
01　自動車販売台数
02　チェーンストア売上高
03　消費者信頼感指数
04　中古住宅販売件数
05　不完全雇用

■ＰＡＲＴ２　投資支出
●投資支出に関する経済指標
06　ＢＢレシオ
07　銅価格
08　耐久財受注額
09　住宅建築許可件数と住宅着工件数
10　 鉱工業生産指数と設備稼働率
11　ＩＳＭ製造業景況指数
12　ＩＳＭ非製造業景況指数
13　ＪｏＣ-ＥＣＲＩ工業価格指数
14　ＬＭＥ在庫
15　家計貯蓄率
16　単位労働コスト

■ＰＡＲＴ３　政府支出
●政府支出に関する経済指標
17　財政赤字と債務残高

■ＰＡＲＴ４　貿易収支
●貿易収支に関する経済指標
18　バルチック海運指数
19　ビッグマック指数
20　経常赤字
21　石油在庫
22　日銀短観
23　対米証券投資（ネット長期ＴＩＣフロー）

■ＰＡＲＴ５　複合的指標
●複合的な経済指標
24　ベージュブック（地区連銀経済報告）
25　クラック・スプレッド
26　ＣＡＯ（信用力オシレーター）
27　ＦＦ金利
28　出生率
29　１人当たりＧＤＰ
30　ＬＩＢＯＲ（ロンドン銀行間取引金利）
31　マネーサプライ（Ｍ２）
32　新築住宅販売件数
33　フィラデルフィア連銀ＡＤＳ業況指数
34　フィラデルフィア連銀景況指数
35　実質金利
36　空売り残高
37　ラッセル２０００指数
38　週間景気先行指数（ＷＬＩ）
39　イールドカーブ（利回り曲線）

■ＰＡＲＴ６　インフレその他の不安要素
●不安要素に関する経済指標
40　ＧＤＰデフレーター
41　金価格
42　ミザリー指数
43　生産者物価指数（ＰＰＩ）
44　小口投資家
45　クレジット・スプレッド
46　ＴＥＤスプレッド
47　ゾンビ銀行率（テキサス・レシオ）
48　ＴＩＰＳスプレッド
49　ＣＢＯＥボラティリティ指数（ＶＩＸ）
50　ウェイトレス美人指数

おわりに

本書の指標には有名なものもあれば無名なものもあり、有料のものも無料のものもあるが、本書を読めば英語が苦手な人でも指標を見ることができるので、投資に十分活用できる。

個々の指標についての解説は本書を見て欲しい。

私が本書を見て思ったのは、指標というのは人々が信じているがゆえに当たるということ。
本書に出てくるような有名な指標は、それを念頭に置いて投資している機関投資家がいる。
それが故に、影響力を発揮することができるのだ。
本書もそれは十分に理解していて、影響力の有りそうな指標から49個を選んで解説している。

だが、本書がスゴイのは最後の指標に「ウェイトレス美人指数」を持ってきたところ。
これはコラムニストが書いた独自の指標で、市場に影響力を持つものではない。
だが、その最後の一つの指標が重大な事実を教えてくれる。

それは投資をするにおいては、独自の視点・指標が有効だということ。
現在多くの人が見ている指標も、元を正せば誰かが独自に初めて有効性が証明されたものが数多くある。独自の指標は他人が知らないために、あたったら大きい利益を得ることができるのだ。

多くの人が信じているがゆえに当たる指標。でも、独自の観点を考え続けることは重要。
一見矛盾したこのメッセージを発している本書は、投資における一つの真理を示してくれる。
願わくば、本書を読んだ投資家が、後世に残るような指標を作り出せることができますように。

☆☆☆★（☆3つ半）

他のBlogの反応はこちら。
http://economist.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/post-6764.html
http://ikadoku.blog76.fc2.com/blog-entry-1461.html
http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/51897687.html
http://honz.jp/9852
http://d.hatena.ne.jp/incubator/20120223/book1996

高評価のエントリが多い。
わかりやすく、しかも有用なので目を通してソンのない一冊だ。

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