SSブログ

依存症に関する中間報告:快感回路---なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか [科学]


快感回路---なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか

快感回路---なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか

  • 作者: デイヴィッド・J・リンデン
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2012/01/20
  • メディア: 単行本



脳の快感を司る部分に電極を刺されたネズミは、食事・育児・睡眠すべてを忘れてボタンを押し続ける。
この、ショッキングな実験から始まる本書は、様々な依存症について、最新の情報を提供してくれる。

【目次】
第1章 快感ボタンを押し続けるネズミ
第2章 やめられない薬
第3章 もっと食べたい
第4章 性的な脳
第5章 ギャンブル依存症
第6章 悪徳ばかりが快感ではない
第7章 快感の未来


本書で言及されているのはほとんどすべての依存症だ。
薬物・タバコ・カフェイン・食事・セックス・ギャンブル……。

依存症の基本的なメカニズムは、脳の快感回路が刺激されることに、脳が慣れてしまい、その刺激がなくては我慢できなくなってしまうこと。
なのだが、どういった条件で依存症になるのかは現在のところよくわかっていない。

依存性が非常に強いコカインや覚醒剤のような薬物でさえ、実際に使用しても依存症にならない人が少ないながらも存在する。

現在の研究では、依存症になるかならないかは遺伝的な要素が大きそうだということはわかっているが、どの遺伝子がどのように関わっているのかまではわかっていない。
それでも、本書を読めば依存症の仕組みが非常によく分かる。

では、依存症の治療法は何が最善なのか?
本書は最新の情報なのだが、それでも、依存症の治療は道半ばであり、結論は出ていない。

本書の見込みでは、近い将来に遺伝子診断によって依存症のリスクをスクリーニングできるようになり、更に将来には薬によって依存症を治療できるようになるだろうという、明るい未来が示されている。
だが、未来が明るいがゆえに、現在の絶望的な状況もよく分かる、なんとも悲しい内容になっている。

ダイエットの出来ない人、失敗してもお酒をやめられない人、ギャンブルにハマって身持ちを崩す人、オンラインゲーム廃人……。
このような人々は世間から軽蔑されるが、実態としては病気である。
悲しいかな身近に依存症の人がいる人も、幸運にもそうした人に縁がない人も、依存症という病気を理解するには入門的に使える一冊である。

☆☆☆★(☆3つ半)

他のBlogの反応はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/headless_pasta/20120805/1344171079
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/02/post-1597.html
http://mmaehara.blog56.fc2.com/blog-entry-2358.html
http://blogs.dion.ne.jp/golden_ears_of_rice/archives/10836201.html
http://rmaruy-blog.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/the.html
http://d.hatena.ne.jp/mmpolo/20120629/1340917197

依存症の話がメインであるがゆえに、快感回路は悪者のように思う人もいるかもしれない。
だが、快感回路は人類が生き抜いていく上で必要であった重要な器官なのだ。
現代の生活では暴走しかねない諸刃の剣なので、その制御を現代人は身に着けておく必要があるのだが……。






nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。