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裁判で損をしないために:臆病者のための裁判入門 [社会]


臆病者のための裁判入門 (文春新書)

臆病者のための裁判入門 (文春新書)

  • 作者: 橘 玲
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/10/19
  • メディア: 新書



私が法学部の学生だった頃(もう15年ぐらい前の話だ)、日本の民事裁判は助さん角さんの居ない水戸黄門のようなものだと言われていた。
判決という印籠に恐れ入って(あるいは体面を気にして)自分から従ってくれる人には有効だが、居直られると何も出来ない。
このように昔から日本の司法システムは欠陥が指摘されていた。

本書は、外国人と保険会社のトラブルをきっかけに保佐人として筆者が裁判に参加した結果を綴った一冊。
本書を通じて、昔から治っていない裁判の欠陥と、そうは言っても進歩した部分とが明らかとなる。

【目次】 1 裁判所という迷宮をさまよって
(訴訟に至るまで、民事調停、東京簡易裁判所、東京地方裁判所、東京高等裁判所)
2 少額民事紛争に巻き込まれたら
(紛争は当事者同士では解決できない、調停と仲裁、簡易裁判所の民事訴訟、本人訴訟、福島原発事故の損害賠償請求)


本書はおおきく2つのパートからできている。

一つ目は本書のメイン。
筆者が外国人の友人と保険会社のトラブルに、保佐人として最初から最後まで関係し、自分で裁判を行ったらどうなるかという部分を描いたパート。

ドラマの影響で裁判では必ず弁護士がつくように思っている人は多いが、民事訴訟では弁護士の付かない本人訴訟が非常に多い
なぜ本人訴訟が多くなるのか?本人訴訟の問題点は?本人訴訟で気をつける点は?
こうした疑問は本書を読めばよく分かるはずだ。

第二のパートは、民事紛争を解決するためにはどうすればいいか?について筆者が論じたパート。
地域の有力者の口利きや、共同体の周囲の眼によって紛争が解決できた時代は今は昔。
民事のトラブルになったら解決は公的な力に頼るしか無いのが、現在の日本だ。
そうした時に、どういう道を取れば損をせず、かつ、労力をかけずに紛争を解決できるか。そうした部分について筆者が考察している。
詳細は本書を読んで欲しいが、ポイントはなるべく裁判(特に、通常訴訟)をしないことだ。

裁判というと、法廷ドラマにあるように検察と弁護士の戦いだと思っている人は是非本書を読んで欲しい。
私達の身近にある裁判には、検察も弁護士も登場しないのだ。

☆☆☆☆(☆4つ)

他のBlogの反応はこちら。
http://dokushototousi.livedoor.biz/archives/1666509.html
http://blog.goo.ne.jp/korin310/e/bbaf0847ae095ba874f4cb6dbcc5654b
http://blog.goo.ne.jp/iitaru0215/e/0785211ba827cb68d5e1798b2a445778
http://blog.wisdom-law.com/archives/19521873.html
http://d.hatena.ne.jp/victoria007/20121107/1352271759
http://blog.livedoor.jp/north_village_you/archives/51787672.html

リバタリアンを自称する筆者には、弁護士しか代理人になることが出来ないことの不条理にも突っ込んで欲しかった。それがあれば、もっと面白くなっただろうに……。






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