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民主主義の否定:ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体 [社会]


ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体 (講談社プラスアルファ新書)

ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体 (講談社プラスアルファ新書)

  • 作者: 適菜 収
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/08/19
  • メディア: 新書



B層とは。Wikipediaより引用
2005年、小泉内閣の進める郵政民営化政策に関する宣伝企画の立案を内閣府から受注した広告会社「スリード」が、小泉政権の主な支持基盤として想定した概念である。
スリード社の企画書では国民を「構造改革に肯定的か否か」を横軸、「IQ軸(EQ、ITQを含む独自の概念とされる)」を縦軸として分類し、「IQ」が比較的低くかつ構造改革に中立ないし肯定的な層を「B層」とした。B層には、「主婦と子供を中心した層、シルバー層」を含み、「具体的なことはわからないが、小泉総理のキャラクターを支持する層、内閣閣僚を支持する層」を指すとされる。
上記の企画書がネット等を通じて公に流布されたため、資料中に使用された「IQ」という知能指数を示す語や露骨なマーケティング戦略が物議を醸すところとなり、国会でも取り上げられた(後述)。


出版された2011年ならこのワードをわかるが多かった用語だろうけど、今ではインターネットを見ない人だと意味がピンと来ない人が多いかもしれない。

本書の主張は、日本において世の中に低IQかつ近代的価値に対してPOSITIVEな印象を持つB層が増えたことで、社会がB層に最適化されてくることへの批判・警鐘だ。
平たく言うと、バカが大きな顔をするんじゃない。というのが本書の主張だ。

【目次】
序章 こんな社会に誰がした?
第1章 資本主義と「大きな嘘」
第2章 B層に愛される「B層グルメ」
第3章 B層カルチャーの暴走
第4章 日本を滅ぼす「B層政治家」
第5章 大衆社会の末路―ゲーテの警告


本書のタイトルにゲーテが出てきている理由は、筆者が哲学専攻で土地勘があるというだけではなく、200年ほど前にゲーテが同様の主張をしていたからというもの。
本書の主張は、悪意を持って要約すれば、「周りはバカばかり」、「昔はよかった」の二点なので、どの時代でも同様の主張を見つけられそうではあるのだが、引用される哲学者の思考はそれなりに重みがあり、B層社会から脱却するための補助線としては有用だ。

ただ、新書という限られたスペースである以上しかたがないのだろうが、過去の哲学者の言を多く引用しておきながら、B層社会から脱却するための方策が体系立てて述べられていない(かつ、方策が現実的ではない)のは残念。
例えば、民主主義はB層社会につながるというのが本書の主張だが、民主主義から脱却するのは米国と対立することを意味するので現実的ではない。
それに、民主主義国はすべてB層社会なのか?という点も考察されていない。
感覚的には、米国・西欧の社会は筆者が言うようなB層化した社会ばかりではないように感じるのだが……。

文体はやや挑発的だし、「ミモレットを干からびたチーズと勘違いした森喜朗元総理」といった表現のようにB層を批判していながら政治家のマスコミ発表をそのまま受け止めているような気になる部分も多いのだが、本書で提示される視点は面白い。

あっさりと読むことも出来る分量なので、足がかりにして自分なりに色々考えて見るにはいい一冊だ。

☆☆☆(☆3つ)

他のBlogの反応はこちら。
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http://shohyou21.exblog.jp/15601994/

賛否両論ありますが、多くの人が書いているように、本書のマーケティングはよくわからない。
B層に売れることが商業的成功の鍵と筆者は認識しているのだが、本書はB層向けとは言え、やや中途半端な気がする。マーケティングには改良の余地ありだろう。







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