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未成熟の学問の魅力:この世で一番おもしろいマクロ経済学――みんながもっと豊かになれるかもしれない16講 [経済]


この世で一番おもしろいマクロ経済学――みんながもっと豊かになれるかもしれない16講

この世で一番おもしろいマクロ経済学――みんながもっと豊かになれるかもしれない16講

  • 作者: ヨラム・バウマン
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2012/06/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



この世で一番おもしろいミクロ経済学――誰もが「合理的な人間」になれるかもしれない16講」の続編。
前作と合わせて読むことで、「経済学」という学問の全体像をつかむことの出来る素晴らしい出来となっている。

【目次】
PART 1:単一のマクロ経済学
Chapter1 はじめに:マクロ経済学の2大目標ってなに?
Chapter2 失業:なぜ「職のない人」をなくせないのか?
Chapter3 お金/貨幣:金融政策は経済を救う!?
Chapter4 インフレーション:経済成長のための「バランスの取れたインフレ」
Chapter5 国内総生産(GDP):経済を測るモノサシ、その使い方
Chapter6 政府の役割:政府は経済を何とかできるのか?

PART 2:国際貿易におけるマクロ経済学
Chapter7 貿易と技術:経済学者が自由貿易をオススメする3つの理由
Chapter8 古典派の経済観:アダム・スミスが信じた自由貿易と比較優位
Chapter9 貿易にまつわる面倒な話:たとえば人権とか保護主義とか
Chapter10 開発援助(ODA):最高の援助は「貿易」にあり!?
Chapter11 外国為替:通貨を取引するための不確実な手段

PART 3:グローバルなマクロ経済学
Chapter12 景気の波の終わり?:金融政策と財政政策の終わりなき戦い
Chapter13 貧困の終わり?:貧困国が「キャッチアップ」するための成長のレシピ
Chapter14 惑星地球の終わり?:地球温暖化を解決するための「市場」の使い方
Chapter15 若さの終わり?:財政破綻せずに高齢化社会を乗り切れるか!?
Chapter16 終わり:で、2大目標はいつ達成できるの?

Glossary 用語集
訳者解説 山形浩生


前著で筆者が「マクロ経済を漫画化するのははミクロ経済より難しい」と語っていたように、本書は煮え切らない表現が多くなっている。
もちろん、筆者が悪いのではなく、マクロ経済学というのはそういう発展途上の学問なのだ。

マクロ経済学の分野ではすでに結論が出ている内容(自由貿易はやったほうがいい等)もあるのだが、様々な学説が対立していて結論がよくわからない部分も数多い
アベノミクスに対する評価が絶賛する経済評論家と、ハイパーインフレを招くとして激しく否定する経済評論家、そして、やってもいいけど意味は無いとする経済評論家にわかれているような状況は頻繁に発生する。

そんな中で本書は入門者を意識して、意見がわかれている部分についてはその旨を明記しているので、偏った意見を通説だと思い込むことがなく、非情に良心的だ。
内容は前著同様に面白く読めるので、経済学部に進もうとしている高校生などにはピッタリの一冊だろう。

☆☆☆☆(☆4つ)

他のBlogの反応はこちら。
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ちなみに、日本政府はマクロ経済学でも争いがない分野への対処も完璧とは言いがたい。
これは、マクロ経済学者は意見が一致しないので、経済学全体に対する信用を落としているからだろう。
早く経済学の世界が統一されないものか……。







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