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自分の人生を自分で選ぶこと:天地明察 [小説]


天地明察(上) (角川文庫)

天地明察(上) (角川文庫)

  • 作者: 冲方 丁
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/05/18
  • メディア: 文庫



天地明察(下) (角川文庫)

天地明察(下) (角川文庫)

  • 作者: 冲方 丁
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/05/18
  • メディア: 文庫



江戸時代初期、囲碁のプロから天文学者になった渋川春海を主人公とした小説。
戦国の気風が消えて太平の世の中へと切り替わりつつある江戸時代で、数学・天文学という学問に一生をかけた人々の思いが非常によく伝わってくる素晴らしい作品だ。

本書のキーワードは数学と、ビッグプロジェクト。

江戸時代の数学は「江戸の天才数学者: 世界を驚かせた和算家たち」のような本が出ていることからもわかるように、かなり高度であったことが知られている。
本書の冒頭にも和算の問題が出てくるが、一般書なので優しい問題が選択されているにせよ、しばらく考えこんでしまうレベルだ。

その、高度な数学に心を惹かれた主人公。囲碁というこれまた奥の深い家業がありながら、数学に専心することを自らの意志で選び取る。この「自らの意思」で職業を決めるということは、家業がしっかりと決まっていた江戸時代においては現代以上の難事であり、それがために主人公の芯の強さ・思いの深さが伝わってくる。

そして、その主人公が挑むのが800年ぶりの改暦という、空前絶後のビッグプロジェクト。
当然一人で薦めることは出来ず、様々なステークホルダーと協力しつつ、ライバルと戦ってプロジェクトの成就を目指す。このプロセスは現代の企業におけるプロジェクトにも通じるものがあり、ビジネスマンだと心惹かれる部分があるだろう。

マイナーな主人公だが、それゆえに新鮮味を持って読めるところもポイントが高い。
評判になるだけの内容で、安心してお薦めできる。

☆☆☆☆(☆4つ)

他のBlogの反応はこちら。
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映画のエントリのほうが多い。
時代物は基本的に小説のほうが向いているはずなんだけど、映画も評判がいいようです。



天地明察 豪華版 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • メディア: DVD









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