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政治家と国民、どっちが悪いのか?:バカに民主主義は無理なのか? [社会]


バカに民主主義は無理なのか? (光文社新書)

バカに民主主義は無理なのか? (光文社新書)

  • 作者: 長山 靖生
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2013/01/17
  • メディア: 新書



色々と残念な本。
本書の紹介はそれに尽きる。
【目次】
第1章 日本人は、いったい政治に何を望んでいるのか?―日本の民主制が危機におちいっている理由
第2章 「自由」と「平等」に、根拠はあるのか?―民主制の歴史と、展開
第3章 日本国憲法、何か問題でも?
第4章 戦後の日本政治は、何を積み残してきたのか?
第5章 バカに民主主義は無理なのか?―輝かしくない日本の未来に向けて


本書を「残念」と評価するのは主に2つの点。

一つは、タイトルが中身と全然合っていないところ。
最近の新書はほとんどがタイトル詐欺なのだが、その中でも本書は酷い。いい加減に、タイトルを編集者が付けるのはやめるべきだし、中身と全く関係のないタイトルを付けて手に取らせるという手法の限界にも気づくべきだ。
今のまま行くと、新書のタイトルは中身を推測する足しにならない以上、どんなに興味のあるタイトルでもお金を出して買うという行為に結びつかなくなってくるだろう。現に私はタイトルには興味を持ったものの、本書を買わず、図書館で借りている。

次に残念なのは、本書の構成がぐちゃぐちゃで言いたいことが伝わりにくいところ。
おおきく分けて1・2章と3・4章でおおきく内容が異なっていて主眼がボケているのと、5章でまとめきれていないために、読後感が悪い。
具体的には、第1章が民主主義という政治形態の限界について述べていて、第2章は歴史上の人物(主に哲学者)が民主主義を不安視していたという例を列挙して第1章を補完している。ところが、第3章で日本国憲法に話題が飛んで、憲法成立の過程に問題ないことを論じ、第4章は吉田茂~野田佳彦までの首相ごとの功績と課題を論じている。そして最終第5章では主に原発事故の情報隠蔽をテーマに、現代ニッポンで情報公開と科学的思考ができていないがゆえに民主主義が機能しないと結んでいる。

私が書くなら、1・2章はグッと圧縮して(場合によっては2章を削って)、3・4章の日本の民主主義を厚く論じて、第5章で機能していない民主主義にパッチを当てるための方策を読者に考えてもらう構成にするだろう。

このようにタイトルと構成で残念な内容になっている本書だが、新書という読みやすい本で日本の政治史と民主主義の関係を考えるという着眼点は悪くない
戦後ニッポンの政治課題が何で、政治家がどうそれに対処してきたのか?そして、それらの対処は国民の意志という民主主義に沿った対応だったのか。本書をきっかけに考えてみるのは悪くない。

本書を読む読まないは別として、日本の民主主義がイマイチ機能していない理由はどこにあるのか考えて見ると面白い。選択肢は以下の4つ。
①ろくな政治家を選べない国民が悪い
②能力がないのに立候補する政治家が悪い
③民主的な意思を無視して暴走する官僚が悪い
④民主主義という制度自体が悪い。どうやってもうまくいくはずがない。

答えはどれなんでしょうね……。

☆☆★(☆2つ半)

他のBlogの反応はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/fujipon/20130307
http://onara931world.at.webry.info/201302/article_27.html
http://pasage.blog43.fc2.com/blog-entry-1622.html
http://tsunoken.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/post-802b.html






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