金融業界には一定の陰謀論者が居る気がする。:世界のお金は日本を目指す ~日本経済が破綻しないこれだけの理由 [経済]
世界のお金は日本を目指す ~日本経済が破綻しないこれだけの理由~
- 作者: 岩本沙弓
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2012/08/23
- メディア: 単行本
日本賞賛+陰謀論。
アベノミクスで相場が活況を呈してきているので、タイミングとしてはいいし、陰謀論にあまり触れたことのない人にとっては面白く感じるだろうが、真に受けるのはオススメできない。
【目次】
序章 世界が評価する日本
第1章 日本人が誤解している「最強の債権国家」の実力
第2章 封印されてきた通貨高のメリット
第3章 末期を迎えつつあるアメリカ
第4章 見えた! ユーロの着地点
第5章 中国バブルが長引いているのはなぜか
第6章 日本経済が最強と言い切れるこれだけの理由
終章 日本の正しい選択
本書の内容はおおきく二つに別れる。
一つは、日本賞賛の部分。マスコミの報道はネガティブなものが多いが、日本経済の実力は残っているというもの。この部分はある程度データが示されていて、手堅いがありきたりで面白みはない。
内容的にも、短期で見ると筆者の言うことはもっともで、日本経済が破綻するような事態はありえない。金利が低く十分にファイナンスが回っている現状を考えると、旧に破綻を心配するのは杞憂だ。藤巻健史氏に代表される破綻論は「今の前提が変わらなければ」30年スパンの長期では確実な出来事を、いつ発生するかというポイントをずらして語ることで不安を煽る商売なのだから、短期では筆者のような楽観論のほうが理にかなっている。
もう一つは、今後の世界経済の行く末を筆者が語った部分。この部分はもろに陰謀論なので、フィクションとしてそういうのが好きな人が楽しめば良い。だが、決して真に受けてはいけない。
アメリカはドル安を演出してバブルをふくらませた後、部分的金本位制を復活させてドルの価値を一気に回復させる。とか、中国経済が失速しないのは日本の中国進出を後押しすることでババを引かせるアメリカの政策だ。とか、実際に怒っている経済の状況を根拠なくつなげて陰謀論を語っている。
陰謀論に馴染んでいない人は新鮮な驚きで楽しめるだろうし、陰謀論が好きな人は軍事ではなく経済方面の陰謀論なのでニッチネタとして楽しめるかもしれない。あくまで、フィクションとして。だが。
全体的に見るとありきたり+陰謀論なのでノンフィクションとしてはイマイチ。フィクションとして楽しむのがいいと思われる。
☆☆(☆二つ)
他のBlogの反応はこちら。
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http://kabukannsatunikki.seesaa.net/article/295561047.html
http://acirco.blog.fc2.com/blog-entry-32.html
結構宣伝をかけているみたい。出版のタイミングとしては絶妙だよな・・・
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