古代の武士はまたイメージが異なる:武士の誕生―坂東の兵どもの夢 [歴史]
一つ前のエントリで摂関政治についての本を読んでいる。
これは、同じ時代に起こりつつあった武士の始まりを描いた一冊。歯ごたえのある本だが、中身は非常に興味深い。
【目次】
序章 ある武士団のものがたり―烟田一族の盛衰
1 怨乱―蝦夷問題の遺産
2 反乱―坂東の夢
3 内乱―棟梁の時代
終章 武士の発見
従来の説では、武士の始まりは地方に在住することを選んだ貴族が武装して、武士となっていった。という説明だったと思うし、学校でもそのように習った記憶がある。
だが、本書で描かれる実態は、中央と地方が明確に分かれていない。もっと渾然一体とした世界だ。
元々武士は武芸を家業とする集団。古代では騎馬・弓矢が主力武器だったので、武芸は誰でもできるものではなく、専門の技を必要とした。そうした集団が、辺境の民である蝦夷と闘いながら武力を磨いていったのが関東武士の始まりだ。
そして、関東の武士は中央と対立するものではなく、摂関家や朝廷と関わりながら自らの権力を高めていった。平将門に代表される"独立派"は必ずしもメジャーな存在ではない。
いわゆる戦国時代や江戸時代の武士とは違い、職業人としての武士の色が濃い古代の武士たち。
摂関政治・院政の背後で力を蓄え、天下を取るようになった経緯がよく分かる。小説や映画でスポットライトの当たる時代ではないが、歴史の動きとしては非常に興味深い
☆☆☆(☆3つ)
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http://shinsengumi11.blog.so-net.ne.jp/2008-12-30
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