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利己的遺伝子説の入門から活用まで:利己的遺伝子から見た人間 [科学]


利己的遺伝子から見た人間 (PHPサイエンス・ワールド新書)

利己的遺伝子から見た人間 (PHPサイエンス・ワールド新書)

  • 作者: 小林 朋道
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2012/03/17
  • メディア: 新書



ドーキンスの「利己的な遺伝子」とそれに続く研究を、日本語で日本人にわかりやすく解説した一冊。
入門書としての新書にふさわしい、良心的な一冊だ。

【目次】
プロローグ なぜ、今、利己的遺伝子説なのか
第1部 利己的遺伝子説とは何か
 遺伝子とは何か
 生命誕生の時点の遺伝子の状態
 「自分自身を複製する」=生命体? ほか
第2部 利己的遺伝子説から見た人間の行動
 遺伝子は細部にわたって遺伝子自身が増えやすいような個体を作り出している
 乗り物がつくられた環境の理解が大切
 妊娠した女性の「つわり」 ほか
エピローグ 遺伝子の戦略を利用して、個体が幸福になるためには
 「幸せ感」につながる行動とは
 狩猟採集時代の生活環境に適応した脳の性質を現代の生活環境にうまく合わせる
 遺伝子の増殖に都合よくつくられた脳の性質を利用して幸せ感の持続につなげる ほか


そもそも利己的遺伝子とはどういった考え方なのか?
簡単にまとめると、(環境に適合していて)残りやすい遺伝子が残っていくという考え方。こう書くと、ダーウィンの進化論と同じようだが、微妙に異なっている点がある。ダーウィンの進化論は”個体”として、環境に適合するものが生き残ると考えていたのに対し、利己的遺伝子の考え方は”団体”として環境に適合することが重要だと考える。
例えば、自分を犠牲にして兄弟を守る働き蜂。個体としてみると、自分は死んでしまうので不適切な戦略だが、自分と同じ遺伝子を持つ兄弟が生き残って遺伝子を残す確率が上がるため、団体としては適切な戦略といえる。
このようにして、生き残るのに適した遺伝子が生き残っていくのだ。

では、それがどう我々の生活に関わってくるのか?
現在生きている私達を構成する遺伝子は、過去の長い歴史の中で生き残るのに適したように変化してきた遺伝子たちなのだ。多くの人間は赤の他人よりも自分の身内を大事にするし、高カロリーの食べ物を食べたあとは幸せな気分になる。

本書で基本を学んだ後は、遺伝子の癖を研究して日々の生活に役立てて見よう。その基本的な考え方は、本書でほとんど手に入るはずだ。
ちなみに、人間の遺伝子たちは過酷な狩猟採集生活を長期間かけて生き残ってきた遺伝子なので、現在の生活には対応できていない部分も多い。その辺りも考えておくといいだろう。

☆☆☆☆(☆4つ)

他のBlogの反応はこちら。
http://blogs.yahoo.co.jp/yuzu_kabosu_h18/55091409.html
http://bookshelf.rikei-style.net/archives/51185386.html
http://horukeu.blog53.fc2.com/blog-entry-1519.html






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