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世の中は巨大なマーケット:「生き方」の値段―なぜあなたは合理的に選択できないのか? [経済]


「生き方」の値段―なぜあなたは合理的に選択できないのか?

「生き方」の値段―なぜあなたは合理的に選択できないのか?

  • 作者: エドアルド・ポーター
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2011/09/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)




それをお金で買いますか――市場主義の限界」でまいける・サンデルが危惧しているように、現代ではすべてのものに値段が付けられている。

公式には直接売買されることがない、生命や幸福にももちろん値段は付いている。
工場の大気汚染の規制を評価するときは、それによって得られる経済効果と健康被害を比較する。その時は暫定的にではあるが価格に置き換えて両者が比較衡量されるのだ。

【目次】
はじめに 値段はどこにでもある
第1章 「モノ」の値段
第2章 「生命」の値段
第3章 「幸福」の値段
第4章 「女性」の値段
第5章 「仕事」の値段
第6章 「無料」の値段
第7章 「文化」の値段
第8章 「信仰」の値段
第9章 「未来」の値段
おわりに―値段が機能しなくなるとき


上記目次を見てもらえるとわかるが、本書で取り上げられている分野は幅広い。
これら全てに何らかの価格が付けられて居るのだ。資本主義、ここに極まれりといえる内容だろう。

そして、個々の価格に関する論述は非常に面白い。
例えば、「信仰」。「信仰」にも価格は当然付けられているのだが、衣服や装飾品と同じく、「信仰」は価格が高いものほど人気が高まっていく。
カトリック教会は教義が科学と整合性が取れるように微調整を繰り返し、世俗の生活を重視しながら振興に取り組むことを可能にしているが……信者は減少の一途をたどっている。逆に、信者を増やしているのは厳しい信仰を信者に強制するカルト的な宗教や原理主義系の宗教だ。
カトリック教会の信仰でも比較的厳格と感じられるレベルの信仰しか要求しない日本の伝統的宗教からは、人が離れていくのは当然だろう。宗教は安売りされればされるほど人気がなくなってくるのだ。

このようにすべてのものに付けられた値段について考察している本書。
だが、本書の凄いところは、「価格が付けられている」というレベルでとどまらないところ。最終章で、その価格付けという行為は正しいのか?という哲学的な問をきちんと考察している。
もちろん、頭の悪い左翼活動家のように「値段をつけるのは良くない。すぐに改めるべき」といった画一的なお題目で終わらず、功罪両方を考えた上で悩みを見せている。

目新しさはないかもしれないが、面白く読むことの出来る一冊。

☆☆☆☆(☆4つ)

他のBlogの反応はこちら。
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