先の見えない努力を続ける苦しさ：仏果を得ず

仏果を得ず (双葉文庫)

• 作者: 三浦 しをん
• 出版社/メーカー: 双葉社
• 発売日: 2011/07/14
• メディア: 文庫

橋下大阪市長の”改革”で有名になった文楽をテーマにした青春？小説。
文楽を極めようとする若者の努力と恋の物語。
筆者はこの手の作品を書かせたら非常にうまい三浦しをんだ。

本書のテーマは文楽というマイナージャンルだが、そこで努力する人々はメジャースポーツの選手や、新発見に挑む学者と全く同じような努力をして、苦悩を背負っている。

自分の残された人生の中でどこまでたどり着けるかという焦り、出番を確保するためのライバルとの競争、師弟関係・兄弟弟子との人間関係、人間であるがために避ける事が出来ない文楽と関係のない生活・恋の悩み……。

プロスポーツとは違って、文楽は一生現役で居ることの出来る分野であるだけに、先の見えない感覚は飛び抜けている。
私達凡人でも、仕事や受験などで先が見えない苦しみに陥ることがあるが、それがずっと続くようなのが本書の主人公たちが置かれた立場なのだ。
そんなプレッシャーが掛かる立場の登場人物たちであるが、筆者の描くその姿は活き活きとしている。

一生ものの仕事を自分で選んで、それに邁進する。そんな素敵な人生を味わってみたい人は本書を読んでみるといいだろう。エンタテインメント性も高く簡単に読むことができるので、これからの人生を考える中高生にもオススメだ。

☆☆☆（☆3つ）

他のBlogの反応はこちら。
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リアル文楽の愛好家のエントリも多い。
私は「にほんごであそぼ」に出てくる裃のおじさんたちしか知らないのだが、それでも十分に楽しめた。

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