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暴力団も冬の時代:続・暴力団 [社会]


続・暴力団 (新潮新書)

続・暴力団 (新潮新書)

  • 作者: 溝口 敦
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/10/17
  • メディア: 新書



島田紳助の芸能界引退。関東連合の起こす事件など、最近は暴力団・半グレ集団は定期的に新聞・雑誌を賑わしている。そうした暴力団(とその類似組織)の現状をわかりやすく解説した一冊。
特に、地方の暴力団が壊滅寸前である現状がわかるとともに、必然的に導き出される未来と問題点も人ごとではないことが骨身にしみる。

【目次】
第1章 組長、幹部たちはどう語るのか?
第2章 法律でどこまで守られるか?
第3章 出合ったら、どうすればよいか?
第4章 芸能界はまだ蝕まれているか?
第5章 警察は頼りになるのか?
第6章 暴力団は本当になくなるのか?
第7章 どうやって生き延びていくのか?


本書の出発点は暴力団排除条例。
島田紳助を引退に追い込み、企業のコンプライアンス担当者に特需(あるいは残業)を与えた全国的な条例により、暴力団は相当に追い込まれている。

それでも東京に足がかりのある組織は、インチキ金融商品をしのぎにしたり、脇の甘いベンチャー企業に食い込んだりするしのぎを書けることが出来る。だが、金融やインターネットに縁遠い地方の組織は排除条例によって息の根を止められかけている。
土建・みかじめ料と言ったしのぎは条例で潰され、経済の低調さから賭博や売春も冴えない。残された有力な稼ぎは違法薬物ぐらいと言った状況なのだ。

筆者はこの状態を歓迎しつつも、いくつかの問題点を指摘する。
一つは、暴力団が地下組織化するという問題。もう一つは、警察が暴力団排除の責任を市民に押し付けている問題だ。

筆者の言うように、最初の一つは頭の痛い問題であるが、仕方のない一面もある。米国にせよ、韓国・中国にせよ、犯罪組織は地下組織化するのが当たり前で日本のように堂々と看板を掲げている方が異常なのだ。
地下組織化することで犯罪の過激化などの問題点が生じるにしても、それを前提とした立法・司法を整備することで立ち向かうしか無い。

ところが、もう一つの問題はかなり根深い。
警察には暴力団を本気で排除する意思も能力もなく、市民に責任を押し付けている。警察の能力が足りないばかりに暴力団関係犯罪の検挙率は低下しているし、警察が犯罪の情報を取得するのに暴力団のパイプを欲しているという現状も有る。何より、暴対法で暴力団を違法と位置づけないあたりに、警察の本音が透けて見える。というのが筆者の主張だ。

私の経験では、警察の中も組織・専門によって縦割りになっている。そのため、暴力団を本気で壊滅させようとすると、組織犯罪対策・生活安全といった部署が割りを食うので本気の取り組みができないのかも知れない。そうだとするならば、よく見る日本という国にありがちな構造の問題点だ。それだけに、解決は非常に難しい。

筆者のスタンスは、左翼系弁護士と違って、暴力団は壊滅させるべき。だが、警察はもっと頑張るように。というものだ。このスタンスは一般市民には非常に受け入れやすいものだろう。暴力組織の現状と、きたるべき未来を考えるための基礎の一冊としては、非常に有用だ。

☆☆☆★(☆3つ半)

他のBlogの反応はこちら。
http://chikuwablog.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/post-7bda.html
http://d.hatena.ne.jp/fujipon/20121207
http://blog.reybull.com/?eid=1281448
http://haruharuy.exblog.jp/18357787/
http://blog.livedoor.jp/gurgur717/archives/51386790.html

暴力団を壊滅させるために、警察・裁判所はサービスで極道に負けないようにして欲しい
ただこの一点が望まれます。






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