物理学者とライトノベル作家は紙一重:シュレ猫がいく! ブレーンワールドへの大冒険 [科学]
サイエンス・ライターの筆者が書くSF。
と言っても、一般的にSFと言って頭に思い浮かぶ内容とはおおきくかけ離れている。超ひも理論や一般相対性理論など、物理学の最先端に筆者の解釈・テイストを混ぜ込みながら小説形式で紹介する内容だ。
【目次】
第1章 幾何学惑星ケベロス(またはバーチャルな現実)
第2章 地球(またはリアルな仮想)
第3章 アニタリア第1星系(またはリアルな現実)
第4章 銀河戦争
第5章 ファンタジア
本書は筆者のサイエンス・ライターとしての実力がいかんなく発揮されており、物理学の最先端の考え方・状況が非常にわかりやすく記されている。エンタテイメント部分は最上級とは言いがたいが、それでも十分に楽しめるレベルには達している。面白いフィクションで最先端の物理学における考え方を堪能できるのだから、値段以上の価値は十分に存在する。
正直、私は高校以来まともに物理学を勉強してきていないので、本書に書かれている内容がどのぐらい筆者の希望や解釈が混じっているのかは判断できない。
だが、本書の内容(と表紙!)で書いている内容が全て真実だと誤解する人ないないだろうし、物理学の最先端理論が何について考えているのか、何を対象にした理論なのかが理解出来れば十分だろう。
物理学専門の人がどう思うかはわからない(とは言え、本書の価値の多くはフィクションよりも物理の知識なので、文系の人よりは本書を低く評価することになると思う)が、門外漢には十分に楽しめる良書である。
☆☆☆☆(☆4つ)
他のBlogの反応はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/nekora/20110501/p1
http://book.iinoda.com/?eid=218
http://rikei.livedoor.biz/archives/51426492.html
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