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日本の行く末を暗示する一冊:階級「断絶」社会アメリカ: 新上流と新下流の出現 [社会]


階級「断絶」社会アメリカ: 新上流と新下流の出現

階級「断絶」社会アメリカ: 新上流と新下流の出現

  • 作者: チャールズ・マレー
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2013/02/21
  • メディア: 単行本



あなたが45歳以上なら、(親しいかどうかはともかく)小中学校の同級生に一人ぐらい工場労働者が居るのではなかろうか?事によっては受刑者が居てもおかしくないだろう。
だが、30歳未満の若い人なら、そんな人と学生時代を過ごすことなんて考えられないという方が多数派になってくるだろう。

何が言いたいかというと、「上流」と「下流」の生活は日本でも確実に交わることはなくなっている。
本書はそうした事態が先行した米国の例をもとに詳細な分析をした内容で、今後の日本社会の行末を予想する際に大きな参考となる。



【目次】
◇「新上流」とは
――高収入、高学歴なだけでなく、情報通・健康志向・ワイン好き・テレビ嫌い・車はヨーロッパ車……といった共通点がある。「新上流」同士で結婚してさらにリッチに。政治的にはリベラルになりがち。
◇「新下流」とは
――従来のブルーカラーとは異なり社会への憎しみが強く、勤勉さ・家族・信仰・正直さといったアメリカ人が大切にしてきた価値観にも背を向ける。地域コミュニティとも疎遠。テレビが大好き。実父母に育てられる子どもは3割以下。


本書はすべての人に成り上がりのチャンスが与えられているアメリカンドリームの国、米国で社会階層が分かれているという事実と、その理由を明白にした上で、仮想の上流階層の町「ベルモント」・仮想の下流階層の町「フィッシュタウン」についてそのあり方を分析している。

階層が分化していく仕組みを単純に言えば、認知能力・教育レベルの等しい人たちと暮らすほうが楽だから、高い教育を受けた人々が固まって住むようになる。そうすると、結婚もその中で行われるので、両親とも高学歴の子供は下流階層との接点がドンドンとなくなっていくというもの。

このように米国で起こっている階層の分断の仕組みが非常によく分かる内容となっているのだが、本書を読んで衝撃をうけるのは仮想下流階級が住む「フィッシュタウン」で起こっていることが、今の日本で問題となっていることにそっくりなこと。
・結婚率の低下
・犯罪率の上昇
・ニートの増加
・孤立した人々の増加 などなど

総中流階級と言われ、元々世俗的であった日本においても、米国と同じように下流階級と上流階級の分化が進み、下流層の問題が社会問題としてクローズアップされる未来が訪れるのだろう。

今はまだその端緒しか見えないが、これから来る日本社会の問題を先取りして考える良い参考書になる一冊。本書を読めば、今の社会問題に一つ明確な補助線を引くことが出来るだろう。

☆☆☆☆☆(☆5つ。満点)

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