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リーダーシップのない人が多いからマッキンゼーは儲かる:採用基準 [自己啓発]


採用基準

採用基準

  • 作者: 伊賀 泰代
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2012/11/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



元マッキンゼーの採用マネージャが語る「マッキンゼーが求める人材」、「今の日本に足りない人材」。
本書で書かれている”求められている人材像”は同じマッキンゼー出身の瀧本哲史著の「武器としての決断思考」でも類似の内容が語られていたので、マッキンゼー出身者の認識としては一般的なところを書いているのだろう。

【目次】
序章 マッキンゼーの採用マネージャーとして
第1章 誤解される採用基準
第2章 採用したいのは将来のリーダー
第3章 さまざまな概念と混同されるリーダーシップ
第4章 リーダーがなすべき四つのタスク
第5章 マッキンゼー流リーダーシップの学び方
第6章 リーダー不足に関する認識不足
第7章 すべての人に求められるリーダーシップ
終章 リーダーシップで人生のおントロールを握る


今の日本に足りない人材、そして、ビジネスの世界で最も求められている人材は”リーダーシップ”の能力を発揮できる人材。これが本書を通じて語られるキーワードだ。

マッキンゼーのように外資系戦略コンサルタントに必要な能力として世間一般で認識されているのは、頭の回転の速さと語学力(+押出の良さ・プレゼン能力等)だろう。
だが、筆者いわくそうしたものは枝葉の能力。ないよりはあったほうがいいのだが、一番大切なのはリーダーシップ能力だと筆者は語る。

日本の教育ではリーダーシップ能力の育成は無視されているし、就職した時にも官庁や日本的な大企業に入ってしまうとホントの意味でのリーダーシップが育成されることはない。日本企業では管理能力は求められるが、リーダーシップが求められることは殆ど無いからだ。
そして、そうした点こそが現代の日本における大きな問題だと筆者は主張する。その問題点が端的な形で現れたのが、東日本大震災後の福島第一原発における事故対応だ。リーダーシップを持つ人が少ないから方向性は決まらないどころか、有益な意見がほとんど出てこない。

外資系戦略コンサルタントから見た日本の人材育成における問題点と、誰も教えてくれないけど社会に出れば非常に重視される能力が本書を読めばよく分かる


と、本書は非常に有益な良書なのだが、マッキンゼー出身の筆者にはややバイアスがかかっていることにも触れておきたい。
冒頭にも挙げているが、一般的にマッキンゼー出身の人が日本企業にリーダーシップ不足を強く感じるのは事実だろう。だが、それはある意味で当たり前なのだ。

日本企業に居る私の感覚からすると、外資系戦略コンサルタントを頼むときに一番期待しているのは、”わかっているけど実行できないプランを推進したい”という点だからだ。ビジネスに携わっていない人がイメージするのと違い、コンサルタントを頼んで社内では全く考えられていなかった意見が出てくることは多くない。むしろ、高いお金を出して有名なコンサルファームに頼むのは、わかっているけど(政治的な理由などで)推進できないプランにお墨付きを与えてもらい、そのプランを推進するための理論・意識付けを行ってもらうためだ。
つまり、マッキンゼー等外資系戦略コンサルタントの日本法人に勤めていると「リーダーシップのない日本企業」ばかりが顧客となって接点を持つことになるのだ。
日本企業に見る欠点に関して、外資系投資銀行出身の藤沢数希とか、日系メーカー出身の城繁幸と筆者の論調がやや違うのは、マッキンゼー出身というバイアスがかかっているからだろう。

本書に書かれている内容は重要かつ正鵠を得ている。Amazonのゴミコメントのように些細な例外を見つけて反感を覚えるのではなく、マッキンゼー出身の筆者が一番に感じる日本企業・ニッポンの教育の問題点という視点を持って読み進めるならば、意味のある内容を掴み取ることの出来る一冊だ。

☆☆☆☆☆(☆5つ。満点)

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ニッポンでリーダーシップ教育が発達して、官庁・日系大企業の多数がリーダーシップ能力を持った人になる。それは素晴らしい未来だろうが、そうなるとマッキンゼーの日本法人の業績は今よりダウンしているのだろう。








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