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敵がいると組織が団結する理由?:ヒトは食べられて進化した [科学]


ヒトは食べられて進化した

ヒトは食べられて進化した

  • 作者: ドナ・ハート
  • 出版社/メーカー: 化学同人
  • 発売日: 2007/06/28
  • メディア: 単行本



原始人がマンモスを狩ってその肉を食べている。
この情景はマンガで描かれても違和感を感じないぐらいに常識的な風景だ。
だが、その常識は正しいのだろうか?古代人は本当に狩猟する側だったのだろうか?

本書は一般的に受け入れられている狩猟をメインとする原人像を否定し、食べられる側としての原人像を描き、現生人類までの真価の道筋を「食べられるヒト」としての立場から無理なく導いている。

【目次】
1章 ありふれた献立の一つ
2章 「狩るヒト」の正体を暴く
3章 誰が誰を食べているのか
4章 ライオンにトラにクマ、なんてことだ!
5章 狩りをするハイエナに腹をすかせたイヌ
6章 ヘビにのみ込まれたときの心得
7章 空からの恐怖
8章 私たちは食べられるのをぼうっと待っているだけではなかった
9章 気高い未開人か、血に飢えた野獣か
10章 狩られるヒト


本書は人類の祖先である原人が大型動物のエサであった事実を化石と類人猿(ゴリラ・チンパンジー・ボノボなど)の事例から説得的に描いている。
本書によると、ライオン・トラ・クマ・ハイエナ・ヒョウ・ワシ・タカ・ヘビなどと言った大型動物はゴリラやチンパンジーをエサとして殺していて、チンパンジーより少し大きい程度の原人たちも同様に食べられていたということだ。

食べられていたと書くと人類が他の動物よりも劣っているように聞こえてイメージは良くないのだが、現代でもクマに襲われて人が死ぬニュースが出るぐらいなので、事実としては誤っていない。
また、人間も単に襲われるだけではなく対策を編み出している。そして、その対策こそが現生人類への進化の扉を開いたのだ。

敵対者となる大型動物の情報を交換するための「会話」。(囮や時間稼ぎの捨て石となる個体が現れることによって)敵対者から本隊をうまく逃すための「社会性」。どうにもならないときに反撃をするための「道具の使用」。こうした行動が人類の脳を進化させ、地球上の覇者へと導いたのだ。

主流派と違った学説らしいが、人類の誕生に興味のある人は読んでみて欲しい。
また、心理学的にはよく聞く話である、人類が進化の過程で得てきた修正が(状況の合わなくなった)現代にも残っているとする学説と合わせて考えると、本書の中身は非常に興味深いものに思えてくるはずだ。

☆☆☆☆(☆四つ)

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